「AIを導入してみたけど、なんとなく使っている」「担当者に任せているが、どこまで効果が出ているかわからない」——そんな声を、中堅・中小企業の経営者・管理者の方からよく耳にします。
AIは道具です。
どんな優れた道具も、使い方を知らなければその力を引き出せません。
本記事では、AI活用の核心となる2つのスキル——「プロンプトエンジニアリング・スキル」と「コーディング・スキル」——を体系的に身につけることで、なぜ業務効率が劇的に上がるのかを解説します。
株式会社オンリーワン経営 代表取締役 AIコンサルタント/経営コンサルタント 木村 淳(あつし)

生成:NotebookLM
■ AIをうまく使えていない本当の理由

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多くの企業がAIを導入しながらも、「思ったより使えない」と感じる原因は、AIの性能ではなく、AIへの「指示の出し方」=「スキル(技能)教育不足」にあります。
人間でも同じです。優秀な部下がいても、曖昧な指示では期待通りのアウトプットは出ません。
AIに対しても「何を・どの形式で・誰向けに・どんな条件で」出力してほしいかを明確に伝える技術——それがプロンプトエンジニアリングです。
「コテコテの昭和コンサルタント」の私には、プロンプトエンジニアリング・スキル=上司の部下指導能力やOJT能力と同じに見えます。
■ プロンプトエンジニアリングの階層を知る

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プロンプトエンジニアリングには、習熟度に応じた5段階の階層があります。
| プロンプト形式 | 説明 |
|---|---|
| 文章プロンプト(1) | ChatGPTやClaudeに話しかけるように質問・依頼をする。まずはここから習慣化する。 |
| 箇条書きプロンプト(2-A) | 条件・制約を箇条書きで整理し、AIへの指示精度を高める。 |
| マークダウンプロンプト(2-B) | 見出しや表を使い、複雑な指示を構造化する。 |
| テンプレート型プロンプト(3) | 役割・背景・指示・出力形式を定型化し、業務別の「資産」として蓄積する。 |
| YAML / JSON構造(4-5) | API活用やRAG構築など高度な自動化を実現する。AIに生成させて「読めればOK」「コピペでOK」。 |
経営者・管理者が最初に習得すべきはLv.1〜Lv.3です。
特にテンプレート型プロンプトを業務別に整備するだけで、社内のAI活用品質が均一化し、誰でも同レベルの成果を出せるようになります。
箇条書きプロンプト(2-A)の事例

生成:ChatGPT
マークダウンプロンプト(2-B)の事例

生成:ChatGPT
テンプレート型プロンプト(3)の事例

生成:ChatGPT
■シニア層だから可能なマルチモーダルプロンプトエンジニアリング

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入力方法の改革は、役員・部長・課長などのシニア層だからなしえる技です。
米国のシステム・エンジニアの世界では、シニアのエンジニアが大活躍です。
業務に精通しているシニアが、優秀な部下を多数使うように、AIを使って仕事をしています。
レイオフや採用抑制は、ジュニア・エンジニアです。
日本においても同様です。
役員・部長・課長が、プロンプトエンジニアリングを覚えると、更に人間の部下を10人から30人使うような仕事が可能になります。
プロンプトエンジニアリングを覚えた役員・部長・課長の部下たちも自然にAIを使いこなし仕事をするようになります。
「AIは、若い人に・・・」は全くの間違いです。
ペーパーレスではなく、キーボードレスです。
データの入力方法に疑問を持ってください。
どれだけ無駄が潜んでいるか見えてきます。
スマホの動画、静止画、音声入力で多くの一次情報入力は終了してしまいます。
その後は、ChatGPTs,Gem等のプロンプトを使って処理させます。
「そのキーボード入力 スマホでやったら」と声がけできるのは、役員・部長・課長です。
特に2025年9月頃と2026年3月では、別世界になりました。
OCRが陳腐化したように見えてしまう状況です。
■プレゼン資料作りには、YAMLのスキルが必須
2026年3月GoogleWorkspaceスライドのAIエコシステムのGeminiが大幅にバージョンアップしました。
スライド生成のステージが変わりました。
またNotebookLMのスライドのNano Banana2登場の前後から、デザイン、文字修正が短時間で簡単に出来るようになりました。
自然言語での入力も可能ですが、YAMLを使うと格段に良くなります。
YAML(ヤムル)は、人間にとっての読みやすさを最優先に設計されたデータ記述形式のことをいいます。
コントロールの幅が広がり、結果表現方法も同じように広がります。

生成:Gemini
■ プロンプトエンジニアリング・スキルは、必要▶不要▶「必須」へ

生成:NotebookLM
2025年8月7日ChatGPT5、2025年11月3日Gemini3が相次いでリリースされました。
その前後で、自然言語、スマホ音声入力と映像入力でプロンプトが書けるようになりました。
もう、プロンプトエンジニアリング・スキルは不要だと思った時期がありました。
一方、複数のAIを使って仕事する、またはGoogleWorkspace内のAIエコシステム搭載Geminiを使うと、プロンプトエンジニアリング・スキルの重要性を再認識するようになりました。
例えば、話し言葉で依頼した場合と、簡単にマークダウン方式で命令した場合、アウトプットの精度が異なるように感じました。
話し言葉での依頼は、複数回追加依頼が必要になります。結果、時間がかかります。
そのような過程を経て、私は、必要▶不要▶「必須」に変化しました。
2026年以降、社会全体として、日常的に複数AIを使い、今よりも少し高度な作業を行うと思います。
プロンプトエンジニアリング・スキルは、必須スキルです。
私のAI研修のケーススタディ・演習でも、プロンプトエンジニアリング・スキルで書く頻度を増やしています。
将来、どんなAIやAI搭載製品が出ても、プロンプトエンジニアリング・スキルが身についていれば、短時間で対応可能になると判断しています。
■ コーディングスキルは「書く」必要がない時代に

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「コード?プログラミングは専門家の仕事では?」——その認識は今、大きく変わっています。
AIにコードを生成させ、それを適用する——この「AIコード活用」こそが、中小企業の業務効率化において最も即効性のある手法です。
一般的な企業ではシステム・エンジニアなんて採用できません。
AIによって、誰でも簡単にマクロ/VBA、GASスクリプト、HTML、JAVA等コードを生成してくれます。
現場を熟知している社員がシステム化を行う為、組織全体で効率が、格段に向上します。
コード生成は、AI。デバック(※Debug)や実装を経たコードの修正や追加も自分たちで行います。
※コンピュータプログラムのミス(バグ)を探して直し、正しく動くようにする作業
離職者が出ても、コードをAIに読み込ませれば、どんな作業かについてAIが答えてくれます。
そして、現状の仕事にマッチしたコードを再生成することも可能になります。
2026年からは、普通の社員(非エンジニア)がコードを書いて、アプリを作り、仕事をする時代となりました。
特に注目すべきは以下の4つです。
①スプレッドシートのAI関数を使いこなす
スプレッドシートのAI関数を覚えてしまうと、全てのデータベースを構築することが可能になります。
入力は、スマホ音声入力で、指定のGemを使います。
Gemが、内容を割り振って、スプレッドシートに変換させます。
スプレッドシートでAI関数を使います。=AI(プロンプト,[範囲])で作業ができます。
CRMが自社で「早く、安く、簡単に+誰でも」構築可能になります。
AI関数で、グルーピングやタグ付け、処理方法を決めた後は、GASで処理します。
2026年3月時点で、AIからドライブへはツークリック、スリークリック必要ですが、その後は、AI関数と後述のGASスクリプトで、自動化が可能になります。

画像:GoogleWorkspace スプレッドシート
AIとブレーンストーミングしていたところ、AIが将来API連携を示唆していました。
API連携の可能性がハルシネーションでないことを祈ります。
このアプローチ方法は、インプットデータから入って構築もいいですし、アウトプットデータから遡っても構築可能です。
この「自由さ」がいいです。
多くの会社は、全ての業務フロー図が存在している訳ではありません。
よって、現在ある帳票から手探りで構築することが必要です。
システム化まで自分で出来てしまいます。
業務の半自動化率10~90%が可能になります。
人材を付加価値のある仕事へ振り向けることが可能になります。
そろばん、電卓、ワードプロセッサーで育った「コテコテの昭和のコンサルタント」には、ドラえもんやアトムの世界です。
② Excel マクロ / VBA:繰り返し作業をゼロにする
毎月の売上集計、帳票作成、データ整形——これらをAIにVBAコードを作らせてExcelに貼り付けるだけで自動化できます。
「AIにコード生成を依頼→動作確認→修正依頼→適用」のサイクルを回せれば、プログラミング知識がなくても使いこなせます。
マクロ/VBAは、電波状態が悪い環境で有効です。
また、6分以上時間を要する処理には有効な手段です。
Excelデータは、CSV形式で基幹システムた他のシステム/アプリ間で入出力可能です。

生成:ChatGPT
③ Google Apps Script(GAS):Google Workspaceを全自動にする
GmailやGoogleスプレッドシート、Googleフォームを連携させ、自動で返信メールを送ったり、フォーム回答をスプレッドシートに集計・整形したりすることが可能です。
GASもAIにスクリプトを生成させ、そのまま適用できます。
手作業で行っていた定型業務が、文字通りゼロになります。
スプレッドシートデータも、CSV形式で基幹システムた他のシステム/アプリ間で入出力可能です。

生成:ChatGPT
④Claude COWORKは、自分のPCを全自動化
Claude COWORKは素晴らしい製品です。PC内の定型業務を指示通りに実施してくれます。
ChatGPT、Geminiと比較して、頭一つ?、いや十個ほど飛びぬけています。
2026年3月14日時点、私は使いこなしていません。使い倒してから、ブログにしますね。
■ 自社専用AIを作る——GPTs・Gems・NotebookLMの活用
ChatGPTs、Gemを活用した自社専用のデジタル社員

生成:NotebookLM
プロンプト設計の力がつくと、次のステージが見えてきます。
それが「自社専用AIの構築」です。
ChatGPTの「GPTs」やGoogleの「Gems」は、自社の業務フロー・トーン・ルールを学習させたカスタムAIを作れる機能です。
たとえば「わが社の営業スタイルに合った提案書を自動生成するAI」や「社内規定の範囲内でしか回答しない問い合わせ対応bot」を、プログラミング不要で構築できます。
YAML形式のプロンプト(システムプロンプト)を設定するだけで、汎用AIが一気に「自社専用デジタル社員」へと変わります。
NotebookLMのスライド、インフォグラフィック(デザイン性の高い体系図1枚)動画解説、音声解説は、YAML形式を覚えておくだけで、表現の幅が10倍にも100倍にも広がります。
NotebookLMを活用したRAG構築

生成:NotebookLM
さらに強力なのが、NotebookLMを活用したRAG(Retrieval-Augmented Generation)の活用です。
RAGとは、AIが回答を生成する際に、あらかじめ登録した自社資料を参照させる仕組みです。
通常のAIは学習データだけで回答しますが、RAGを使えば社内マニュアル・過去の議事録・製品カタログといった「自社固有の知識」をAIに持たせることができます。
このRAG構築を、高度なスキルなしに実現できるのがGoogleの「NotebookLM」です。
社内文書をアップロードするだけで、その内容に基づいて質問に答えるAIが数分で完成します。
「規程集をアップして就業規則をいつでも確認できるbot」「過去の提案書を学習させた営業支援AI」など、現場で即使えるAIを低コストで構築できます。
RAGはコーディングスキルの中でも「必須」に分類される重要技術です。
ChatGPTs、ClaudeSkill&knowledgeで作成するRAGと比較して精度が抜群です。
AI研修のケーススタディで、国交省の公共建築工事標準仕様書(建築工事編:PDF約9,100文字)と公共建築工事標準単価積算基準(PDF約 105,700文字をExcelに変換して6500行のデータ)のRAGを構築する内容を追加しました。
間違った、デモ見積書を投入すると、工種の間違い、単価の間違いについて正確に回答してくれます。
公共建築工事標準単価積算基準:PDF約 105,700文字からでもExcelデータ6500行からでも出来ます。
合計11万文字の言語データを基準にマッチングして処理します。
私は、システム・エンジニアではありません。「コテコテの昭和のコンサルタント」です。
Gemini、NotebookLM、ChatGPT3つAIを使って20分程度で仕上げました。
内訳は、GeminiのGemとNotebookLM、ドライブを使用しました。
標準単価表のPDFをExcel6500行のデータに変換する工程はChatGPTを使いました。
以上AI研修のRAG構築用ケーススタディ(応用版)として作成しました。
このケーススタディを通じて教えたいことは、会社の中にある、ほこりをかぶった資料をお金に変える=「資産」に変えてくれるということです。
この組み合わせのRAG構築をし、使いこなした会社が、限界利益率、営業利益率ベースで1~5%以上はアップさせることが可能になると感じています。
NotebookLM 国土交通省の公共建築工事標準単価積算基準(PDF約 105,700文字)

Gemini Gem 知識欄に公共建築工事標準仕様書と公共建築工事標準単価積算基準を設定

MicrosoftのCopilot も素晴らしいAIです。
しかし、マルチモーダルでの入力は不得意で、RAG構築は、非エンジニア=普通の社員には難しいです。
システム・エンジニア、RAG構築知識を持った人間に限定されます。
2026年3月時点で、ボトルネックや属人化、退社したら誰も使えないの原因になってしまいます。
但し、MicrosoftはSLM(Small Language Model:小規模言語モデル)をしているそうです。WindowsPCはじめ様々な機械に搭載可能と推測されます。
LM(言語化モデル)の世界で巻き返しが図れるか、楽しみです。
■ 「体系的に学ぶ」ことが最短の近道

生成:NotebookLM

生成:Gemini Nano Banana2
2つのスキルに共通するのは、「順番に学ぶ」ことの重要性です。
プロンプトエンジニアリングでは、まず文章プロンプトで「AIと対話する習慣」を作り、次に箇条書きで指示精度を上げ、テンプレート化で業務資産にしていきます。
2026年3月は、音声入力が主流です。
どんどん音声で、AIと会話しながら、業務資産を増やしていきましょう。
同時に、AIカスタマイズのスキルを勉強します。
AIを使ってカスタムAI用のプロンプトは生成できます。
そのプロンプトを使ってChatGPTsやGem、簡単なSkillを作成します。
AIカスタマイズでは、プロンプトエンジニアリングのスキルよりも、業務分析やカイゼンのスキルが重要だと感じています。
コーディングスキルでは、VBAやGASで小さな自動化成功体験を積み、徐々にRAG(社内知識検索)やカスタムAI構築(Skills設計)へとステップアップしていきます。
この体系を知らずに「とりあえずAIに聞いてみる」だけでは、いつまでも活用が属人化し、一部の社員だけが使いこなすツールで終わってしまいます。
会社全体でAIを使いこなせず、企業としての競争力を失っていくでしょう。
求職者が、手書き作業や手入力の仕事場をみたら「あの会社は手入力多いからいやだ」に変わります。
または、「AIも使ってない会社だから、将来性ないね!」と評価します。
人手不足の中、今以上に募集しても、誰もこない会社になります。
■ 経営者・管理者が今すぐできること

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難しく考える必要はありません。まずは以下の3ステップから始めましょう。
- Step1:毎日1回、有料版ChatGPT/Gemini/Claudeに仕事の疑問を「音声入力で」質問ます。(AIブレスト:AIを使ってブレーンストーミングすること。木村命名)
- Step2:自分の業務でよく使う指示を「テンプレートプロンプト」として整備し、チームで共有する。ChatGPTsとGem作成です。ChatGPTはBusinessプラン契約が必要です。GoogleWorkspaceはGemの共有が簡単です。
- Step3:「ExcelでこのデータをこうしたいんだけどVBAで自動化できる?」とAIに聞いて、コードを生成・適用してみます。「スプレッドシートも使って自動化したいんだけど?」とAIに聞いてスクリプトを生成、運用してみます。
この3ステップを実践するだけで、AIが「なんとなく使うツール」から、ラクをしながら「業務を変える武器」、「利益構造を変える武器」になります。
悪い意味ではなく、「ラクして儲かる企業」へ変化します。
■ 組織全体のAI活用レベルを底上げする

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生成:Gemini Nano Banana2
経営者・管理者自身がこの2つのスキルの「地図」を持つことには、もう一つ重要な意味があります。
それは、社員へのAI教育の方針を正しく立てられることです。
スキルマップを見ると、「必須」「推奨」「読めればOK」という優先度が整理されています。
全員がYAMLやJSONを書けるようになる必要はありません。
現場社員にはテンプレートプロンプトの活用とVBA/GAS生成を、リーダー層にはRAG設計やカスタムAI構築を、経営層はその全体像を把握して投資判断できれば十分です。
AIツールは日々進化していますが、「指示力(プロンプト設計)」と「自動化力(コード活用)」は、どのツールが主流になっても普遍的に必要とされるスキルです。
今、この2つに人材育成投資することは、特定ツールへの依存ではなく、変化に対応できる組織づくりそのものです。
■ まとめ

生成:NotebookLM
AIは、使い方を知っている人と知らない人の間に、圧倒的な生産性格差を生み出しています。
プロンプトエンジニアリング・スキルとコーディング・スキルを体系的に学ぶことは、社員であれば「普通」です。
経営者・管理者自身がこの2つのスキルの「地図」を持ち、組織全体のAI活用レベルを引き上げることが、これからの競争力の源泉になります。
「企業は人なり」から「企業はAIスキルを持った人なり」に変わりました。
部下に任せっぱなしで終わらせない。今日から、AI活用の主役は経営者・管理者自身です。





