はじめに
仙台市青葉区川内にある阿部内視鏡内科です。消化器内視鏡検査のスペシャリストとして地域に根ざした医療を提供し続けている院長の阿部慎哉先生にクリニックの特徴についてお話を伺いました。
阿部内視鏡内科の歴史
木村:まず、阿部内視鏡内科の歴史についてお聞かせください。
阿部院長:当院は1966年(昭和41年)に父 精太郎が阿部内科小児科医院として開院しました。
長年にわたり地域の皆様の健康を支えてまいりました。
事業承継
2011年当時、父が79歳と高齢になり事業継承を決意しました。
私が勤務していた東北労災病院から同院 副院長に就任しました。
同時に内視鏡検査室を新設しました。
それに伴い院名を阿部内視鏡内科に変更しました。
宮城県は初めての「内視鏡内科」標榜
当時、国・厚生労働省は、広告可能な診療科名について規制緩和を行いました。
内視鏡内科は、2008年4月1日から施行となり始めて標榜可能となった院名です。
2011年、内視鏡内科を標榜したのは、当時宮城県では「阿部内視鏡内科」だけでした。
注記)内視鏡内科等の院名は、医療法等改正において適切な医療機関の選択と受診を支援する観点から、広告可能な診療科名について規制緩和が行われました。
阿部慎哉先生のキャリアについて
消化器内視鏡の先駆者である山形 倫先生に師事
木村:阿部先生のキャリアについても教えていただけますか?
阿部院長:私は秋田大学医学部を卒業し、東北大学第三内科(現消化器内科)で学位を取得しました。
その後、宮城県対がん協会がん検診センターや東北労災病院胃腸科で勤務し、内視鏡検査と治療の経験を積みました。
特に労災病院時代には、
年間約1,500件の内視鏡検査と、
胃癌に対する内視鏡の手術を含む年間約100例の内視鏡治療をしました。
これらの経験を踏まえ、現在の診療に臨んでいます。
木村:内視鏡検査・治療を選ばれた経緯を教えて下さいませんか?
私は大学卒業後、東北労災病院で2年間の臨床研修を行いました。
その際、消化器内視鏡の先駆者である山形 倫先生に師事し、内視鏡の基礎を厳しく教わりました。
それまでは胃潰瘍や十二指腸潰瘍から出血し、吐血やタール便で運ばれた患者さんに対しては外科手術が一般的でしたが、当時東北大学第三内科で開発された内視鏡的エタノール止血術をもって胃を切除することなく、内視鏡1本で止血可能となりました。
そのため当時は消化器内視鏡診療が病院の花形であり、昼夜を問わず呼び出されて緊急内視鏡をする大変さは有りましたが、私にとって大変やりがいがあり魅力的な仕事でした。
私は手先が器用でしたので、研修医の中でも早くから内視鏡検査を任されるようになり、それから内視鏡診療を天職であると考えるようになりました。
また、外科と違って開業してからも内視鏡検査は可能で専門性を維持出来る事も、医院を継承する決断の決め手となったのです。
日本人の死亡原因の推移
木村:日本人の死亡原因について教えて下さいませんか?
阿部:厚生労働省の2022年(令和4年) 人口動態統計月報年計の概況で説明します。
令和4年の死亡数を死因順位別にみると、
第1位は悪性新生物<腫瘍>で 38 万 5787 人(死 亡率(人口 10 万対)は 316.1)です。
部位別で見ますと男性は
第1位が肺がん
2位が大腸がん
3位が胃がん
となっており、
女性では
大腸がんが1位
最近は大腸がんの死亡率上昇が目立っています。
胃がん大腸がんの早期発見には内視鏡検査が重要な役割を果たしています。
胃がんの原因に「ピロリ菌」について
木村:胃がんの原因に「ピロリ菌」があります。詳しく教えて下さいませんか?
阿部:幼少期の衛生状況(井戸水摂取など)や両親からの経口感染が多く、成人してからの感染はまれと考えられています。
そのため、ご両親が胃炎や潰瘍、胃がんなどにかかった事のある方や、小さなお子さんがいらっしゃる方は、次世代にピロリ菌を残さないためにも検査をお勧めします。
ちなみに、ピロリ菌感染だけでは症状は無いことが多いです。
木村:「ピロリ菌」にはどのように対処するのでしょうか?
阿部:「ピロリ菌」の除菌治療をお勧めします。現在は、保険適用されています。
ピロリ菌の除菌治療は、胃酸を抑える薬と抗生物質の組み合わせで数種類の薬を7日間服用するだけです。
一次除菌で90%程度の方が除菌成功しますが、残念ながら失敗した方も薬の内容を変えての二次除菌までは保険で治療出来ます。
ただし、ペニシリンアレルギーのある方は保険での除菌治療は出来ませんのでご相談ください。
当院ではピロリ菌の有無を調べる尿素呼気検査機器が有りますので、約20分で検査結果が判ります。
木村:「ピロリ菌」除菌治療のメリットについて教えて下さいませんか?
阿部:除菌治療により胃十二指腸潰瘍の発生や再発を抑制し、胃弱などの胃炎症状がある方は改善がみられます。
最も重要なメリットは、胃がんの発生リスクを減らす事です。
除菌後に胃がん発生のリスクは、およそ半分程度になるといったデータもあります。
デメリットとしては、薬の副作用が挙げられます。
除菌薬服用後より軟便、下痢、味覚障害、アレルギー反応などの副作用がでることがあります。
ただしほとんどは軽い症状で、このような副作用は約10-20%の方にでるとされています。
また除菌後しばらくして、胸やけなどの症状を訴える方も時々みられます。
阿部内視鏡内科の診療方針について
木村:詳しい説明ありがとうございます。阿部内視鏡内科の診療方針について教えて下さいませんか?
阿部院長:これまでの経験を活かし、苦痛の少ない安全で正確な検査で地域医療に貢献したいと考えています。
内視鏡検査が初めてで不安な方や、以前受けた内視鏡検査がつらく、もう受けたくないと思っている方、毎年のバリウム検査が苦手な方、ピロリ菌が心配な方などは、どうぞご相談して下さい。
詳しく説明して納得いただいてから内視鏡検査いたします。
検査だけでなく、高血圧や糖尿病、脂質異常症などの内科一般に関しても、きめ細かい対応を心がけています。
また、病院での治療が必要な患者さんには、労災病院時代に培った仙台市内の主要病院との連携を活かし、最適な病院をご紹介しています。
患者様からある「よくある質問」
木村:よくある問合せについて教えて下さいませんか?
阿部院長:わかりました。一人二役 患者役と医師役で解説しますね!
よくある質問1 大腸がん検診で要精検(便潜血陽性)について
質問者: 大腸がん検診で要精検(便潜血陽性)と出たのですが、もう一度便潜血検査をしてもらいたいと思っています。
阿部院長: ご心配されていることと思います。一度便潜血検査で陽性が出ている場合、再度同じ検査を行うよりも、大腸内視鏡検査をおすすめします。
質問者: もう一度便潜血検査をしても意味がないということでしょうか?
阿部院長: はい、そうです。便潜血検査は、大腸からの出血を調べる検査ですが、再検査で陰性になったとしても、大腸に何も異常がないとは言い切れません。
質問者: なぜ内視鏡検査が必要なのでしょうか?
阿部院長: 内視鏡検査は、大腸を直接観察できる検査です。大腸がんだけでなく、将来がんに変わる可能性のあるポリープ(腺腫)なども見つけることができます。ポリープは小さいうちに内視鏡で切除することで、大腸がんを予防できる可能性が高まります。
質問者: 内視鏡検査は少し怖いのですが…。
阿部院長: 内視鏡検査は、昔に比べて痛みや苦痛が少なくなるよう、様々な工夫がされています。当院では、患者様にできるだけ安心して検査を受けていただけるよう、十分に検査の事前説明をしておりますのでご安心ください。
よくある質問2 胃炎と診断された場合の対応について
質問者: 胃がん検診の結果、胃炎と診断されたのですが、どうしたらよいのでしょうか?
胃レントゲン検査では、ピロリ菌感染の可能性が高い萎縮性胃炎とのことでした。
阿部院長: 萎縮性胃炎は、胃の粘膜が薄くなり、萎縮してしまう病気です。
この状態が長く続くと、将来胃がんに繋がる可能性も指摘されています。
特に、ピロリ菌感染が原因の萎縮性胃炎の場合、胃がんのリスクが高まることが知られています。
質問者: 胃がんのリスクが高まるということですか?
阿部院長: はい、その可能性があります。そのため、一度、胃の内視鏡検査とピロリ菌検査を受けて、ご自身の胃の状態を詳しく調べていただくことをお勧めします。
質問者: 内視鏡検査というと、少し怖いのですが…。
阿部院長: 内視鏡検査は、胃の中を直接観察できる検査で、より詳しい状態を知ることができます。
ご心配であれば、鎮静剤を使用することも可能ですので、お気軽にご相談ください。
ピロリ菌検査は、息を吹き入れる簡単な検査です。
質問者: ピロリ菌検査で陽性だった場合はどうすればよいのでしょうか?
阿部院長: ピロリ菌検査で陽性だった場合は、除菌治療を行います。除菌治療は、抗生物質などを用いてピロリ菌を根絶する治療法です。
ピロリ菌を根絶することで、胃がんのリスクを減らすことができます。
質問者: 除菌治療は痛みなどありますか?
阿部院長: 除菌治療は、抗生物質を飲む治療なので、痛みを感じることはありません。
ただし、まれに副作用が出る場合もありますので、医師の指示に従って治療を進めてください。
質問者: わかりました。内視鏡検査とピロリ菌検査を受けてみようと思います。
よくある質問3 仙台市の胃がん検診を内視鏡検査で受ける場合
質問者: 仙台市の胃がん検診で、内視鏡検査を受けたいと考えているのですが、詳しく教えていただけますか?
阿部院長: 仙台市の胃がん検診について、ご興味をお持ちいただきありがとうございます。
2019年度(令和元年度)から、50歳以上の方には、胃部レントゲン検査(バリウム検査)と胃内視鏡検査(胃カメラ)のどちらかを選べるようになりました。
質問者: 胃カメラとバリウム、どちらを選べば良いか迷っているのですが、違いはなんですか?
阿部院長: 胃カメラは、胃の中を直接観察できるため、早期の胃がんを発見できる可能性が高い検査です。
一方、バリウム検査は、バリウムを飲んで胃の凹凸を調べる検査で、胃カメラに比べて発見できるがんの大きさに限界があります。
質問者: 胃カメラの方が良いように思いますが、毎年受けることはできないのですか?
阿部院長: 仙台市では、胃カメラによる検診を受けた方は、翌年の胃がん検診は受けられません。
これは、毎年バリウム検査を受けることと、2年に1回胃カメラ検査を受けることの精度がほぼ同等であるという研究結果に基づいています。
質問者: 胃カメラは少し怖いのですが、痛みはありますか?
阿部院長: 胃カメラ検査は、経口または経鼻で挿入することが可能です。検査中は多少の嘔気や痛みを感じる方もいらっしゃいますが、鎮痛薬や鎮静薬の使用は、仙台市との取り決めにより認められておりません。
質問者: 鎮痛剤が使えないのは少し不安です。
阿部院長: ご心配な気持ちはよくわかります。当院では、検査中の痛みを少しでも軽減できるよう、丁寧な説明や、リラックスできる環境作りを心掛けています。
質問者: 予約はどのようにすれば良いですか?
阿部院長: 当院では、電話での予約を受け付けております。2年に1回の胃カメラ検査で、胃がん検診を済ませることができますので、お気軽にご予約ください。
質問者: わかりました。もう少し詳しく教えていただけますか?
阿部院長: もちろんです。例えば、検査前の準備や、検査後の注意点など、ご希望のことがございましたら、遠慮なくお尋ねください。
阿部慎哉先生の専門分野と所属学会について
木村:阿部先生一人二役ありがとうございます。患者さんの悩みや心配するポイントが良くわかりました。
阿部先生がとても分かりやすく説明する様子がわかりました。
阿部先生の専門分野や所属学会について教えてください。
阿部院長:私は
日本消化器内視鏡学会の専門医
日本消化器がん検診学会の認定医
日本消化器病学会の専門医
そして
日本ヘリコバクター学会のピロリ菌感染症認定医
の資格を持っています。
これらの特徴を活かし、消化器疾患の診断と治療に力を入れています。
阿部内視鏡内科の特徴について
木村:内視鏡検査の特徴について教えていただけますか?
阿部院長:当院では、患者さんの負担を軽減するため、様々な工夫を凝らしています。
まず、口からでも鼻からでも検査できるようにしています。
外径約5mmの細径内視鏡から特殊光内視鏡まで、各種内視鏡機器を取り揃えています。
また、鎮静剤の注射をすることで、嘔吐反射の少ない快適な検査を受けていただけます。
木村:大腸内視鏡検査について、特に注目すべき点はありますか?
大腸内視鏡検査では、硬度可変式内視鏡や内視鏡挿入形状観察装置を使用し、苦痛の少ない検査を目指しています。
木村:内視鏡検査とレントゲン検査の違いについて、患者さんに知っておいてほしいことはありますか?
阿部院長:内視鏡検査の大きなメリットは、直接粘膜を観察できることです。
これにより、小さな病変も見つけやすくなり、必要に応じてその場で組織検査もできます。
また、口からの挿入では、食道から十二指腸までを一度に観察できる利点があります。
鼻からの挿入は、嘔吐反射が少なくなり、検査中に会話がしやすくなり、口からの内視鏡検査が苦手だった方にお勧めです。
木村:最後に、患者さんへメッセージをお願いします。
阿部院長:健康診断や症状があるときには、ぜひ早めに検査を受けていただきたいと思います。
当院では、患者さんの不安や苦痩を少しでも軽減できるよう、最新の機器とテクノロジーを用いて、安全で正確な検査を心がけています。
皆様の健康維持のため、わずかな違和感でもお気軽にご相談ください。
地域の皆様の健康を守るため、精進してまいります。
木村:貴重なお話をありがとうございました。
聞き手:株式会社オンリーワン経営 代表取締役 木村淳:企業経営コンサルタント・医療コンサルタント・AIコンサルタント
仙台 阿部内視鏡内科 ホームページ
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