今回は 株式会社からだケア 代表取締役社長 伊藤正樹様にお話を伺います。
株式会社からだケア様は、東京都多摩地域の「健康寿命を5歳引き上げる」を目標に掲げています。
その「健康寿命を5歳引き上げる」の目標に対応したしたサービス作り、仕組み/システムづくり、人づくりを確実に実施しています。
読者の方は「いち企業で?」「大胆な目標だな?」と思われるかもしれません。
実際に、株式会社からだケア様の目標達成への取り組みは、「きめ細やか」です。
株式会社からだケア様の取り組みを最後までお読み頂ければと思います。
執筆/撮影:株式会社オンリーワン経営 木村 淳
訪問鍼灸マッサージ
木村:伊藤社長、お忙しいところ早朝よりインタビューのお時間を頂き誠にありがとうございます。
東京都多摩地域の「健康寿命を5歳引き上げる」の中核をなしている訪問鍼灸マッサージについてお伺いしたいと思います。訪問鍼灸マッサージは、どのようなサービスですか。
伊藤社長:はい、よろしくお願いします。では、訪問鍼灸マッサージについてお話します。
私たちは、患者様のご自宅に伺い、鍼灸マッサージを行います。
単なる治療に留まらず、リハビリのお手伝いや、日常生活におけるご提案、そして温かい見守りを含めた総合的なサポートが特徴です。
身体の不調だけでなく、心の不安も抱える患者様一人ひとりと向き合い、毎日を明るく元気に過ごせるよう支援しています。
木村: なるほど、総合的なサポートが特徴なのですね。確かに、少し違いますね!
では、訪問鍼灸マッサージの対象となる方は、どのような方々でしょうか。
伊藤社長: はい、ご自身で通院するのが難しい方や、リハビリ前後のケアを必要とされる方々が主な対象です。
杖を使って歩ける方から、寝たきりの状態の方まで、幅広い身体状況の方にご利用いただいております。
特に、0歳のお子様からご高齢の方まで、年齢を問わず施術を受けられます。
例えば、パーキンソン病、肩こり、脊柱管狭窄症、脳梗塞、変形性膝関節症といった症状でお悩みの方、また小児麻痺などで継続的な身体のケアが大切なお子様も対象です。
外出が億劫だと感じるような軽い症状の方でも、お気軽にご相談いただけます。
木村: いや〜、幅広いですね。サービス内容や費用について教えてくださいませんか。
伊藤社長:はい、 1回あたりの施術時間は、およそ15分から20分程度です。
費用については、医療保険が適用される場合、一回あたり264円※1.からとなります。
これは、医師の同意書があれば可能となり、おおよそ450円前後※1.でご利用いただけます。
保険適用外の自費診療としては、3,850円※1.からご用意しており、例えば、保険適用部位以外の部位の治療を希望される方や、急に身体を痛めてしまった方に対応しています。
また、ご利用者様のご家族の体のリフレッシュを目的とした「家族サポート」も、10分1,550円※1.で提供しております。
※1.料金は2025年9月1日現在のものです。
木村: 「ご家族サポート」凄いですね。確かに、一緒に過ごすご家族の負担も大きいですからね。
それでは、訪問鍼灸マッサージ事業の拠点はどこにありますか。
伊藤社長:はい、 現在、日野、多摩、そして八王子に事業所を展開しています。
特に八王子事業所は、2025年2月より本格的に始動し、八王子市の隅々までサービスを届けられるようになりました。
障害児マッサージ
木村:障害児マッサージについて、もう少し詳しく教えていただけますか。
伊藤社長:はい、ありがとうございます。
障害を持つお子様へのマッサージは、訪問鍼灸マッサージ事業の中で対応しています。
特に小児麻痺など、身体のケアが継続的に必要な大切なお子様を対象としています。
0歳という幼い頃から、専門的な施術を通じて、心身の成長と快適な生活をサポートしています。
ご家族の負担軽減にも繋がるよう、きめ細やかなケアを心がけています。
リハビリ特化型小規模デイサービス
木村: 次に、リハビリ特化型小規模デイサービスについてお聞かせください。
伊藤社長: はい、このサービスは、「早稲田イーライフ日野」という名称で運営しています。
主に要支援1・2の認定を受けた方を対象とした、介護予防に特化したデイサービスです。
「寝たきりゼロ」を目指し、利用者様が運動習慣を身につけることを目的としています。
木村:なるほど。それでは、 どのようなプログラムを提供されていますか。
伊藤社長: 私たちは、厚生労働省分担研究班が発行する「運動器の機能向上マニュアル」に基づき、早稲田大学エルダリーヘルス研究所で科学的に研究された介護予防プログラムを採用しています。
独自の「イーライフ筋力アップトレーニング」も提供し、利用者様一人ひとりの生活や身体の状態に合わせた、個別性の高いトレーニングを実施しています。
木村: 凄いですね! スタッフの資格要件はいかがでしょう。
伊藤社長: はい、多岐にわたる専門職が活躍しています。
柔道整復師、鍼灸師、精神保健福祉士、社会福祉主事任用資格、介護福祉士、介護支援専門員(ケアマネ)、介護職員初任者研修課程修了者、介護福祉士実務者研修課程 修了者など、多くの資格保有者が専門知識を活かしています。
もちろん、未経験の方や資格がない方でも、フロアスタッフとして安心して働ける環境を整えています。
木村: 素晴らしいです。施設はどこにありますか。
伊藤社長: はい、日野市内で「早稲田イーライフ日野グループ」として、四つの施設を運営しています。
具体的には、早稲田イーライフ日野、早稲田イーライフ日野南館、早稲田イーライフ日野百草、そして早稲田イーライフ日野旭が丘の各施設です。
木村: では、内容についてお聞かせくださいませんか。
伊藤社長: 当社のデイサービスは、先ほど説明したように、介護予防に特化したフィットネス型デイサービスが中心です。
通常のデイサービスに加えて、運動習慣の定着を重視したプログラムを提供しています。
これにより、利用者様がより活動的な生活を送れるよう支援しています。
一般社団法人イーライフ交通
木村: 一般社団法人イーライフ交通は、どのような役割を担っていますか。
伊藤社長: はい、一般社団法人イーライフ交通は、弊社の「福祉移送事業」として運営しています。
主に、福祉輸送サービスを通じて、地域の高齢者や障害をお持ちの方々の移動をサポートしています。
例えば、一般の交通機関の利用が難しい方や、足が不自由で外出が困難な方、そうした方々が安心して外出できるよう、福祉車両を活用した移送サービスを提供しています。
これにより、地域社会における移動のバリアフリー化に貢献しているのです。
株式会社からだケアの事業展開の経緯について
木村:訪問鍼灸マッサージ、障害児マッサージ、リハビリ特化型小規模デイサービス、福祉移送事業まで幅広いですね!
貴社の事業は、どのように発展してきたのですか。
伊藤社長:はい、私たちは、2012年に多摩整骨院グループの介護部門として、事業をスタートさせました。
以来、地域に根差したサービス提供に努め、おかげさまで2022年には、設立10周年という節目を迎えることができました。
この間、多摩地域の皆様の健康と豊かな生活を支えるため、常にサービスの向上に力を注いできました。
木村:なるほど、「多摩地域の皆様の健康と豊かな生活を支えるため」素晴らしいですね!
伊藤社長は、どのような経緯で代表に就任されたのですか。
伊藤社長: 私は多摩整骨院に2003年入社し22年目を迎えます。
キャリアの中で、「訪問鍼灸マッサージからだケア」の立ち上げ、「多摩整骨院日野院」の院長、そして「デイサービス早稲田イーライフ日野」の立ち上げなど、様々な重要なプロジェクトに携わらせていただきました。
そして、弊グループの創業社長である九原(くはら)が、2022年9月に還暦を迎えたことを機に、私が「株式会社からだケア」の代表取締役を務めさせていただくこととなりました。
これまでの経験を活かし、介護事業における「新たな10年」を目指して、精一杯努めて参りたいと思います。
ドミナント戦略と「健康寿命を5歳引き上げる」
木村: 多摩地域での展開について、貴社の戦略をお聞かせください。
伊藤社長: はい、私たちは多摩地域に深く根差した事業展開を重視しています。
この地域で、皆様に健康で豊かな生活を送っていただくことが、私たちの最も重要な使命だと考えています。
地域に密着することで、利用者様との信頼関係を築き、よりきめ細やかなサービスを提供できると考えています。
木村:地域密着、そうですようね。では、 具体的には?
伊藤社長:はい、 具体的な戦略としては、日野市内で複数の施設を集中して展開しています。
例えば、「早稲田イーライフ日野グループ」のデイサービスは、日野市内に4施設を運営しており、訪問鍼灸マッサージも日野、多摩、八王子に事業所を配置しています。
イーライフ交通は、日野市に限ったサービスを展開しています。
これにより、地域内でのサービス提供網を強化し、利用者様が身近な場所で必要なケアを受けられるように努めています。
このドミナント戦略は、多摩地域全体の「健康寿命を5歳引き上げる」という、私たちのグループビジョンを実現するための重要な点です。
木村:ビックリです。多摩地域全体の「健康寿命を5歳引き上げる」、そこまで言い切れる法人を見たことがありません。本当に素晴らしいです。
スタッフの育成の仕組み
木村: 戦略実現に向け、スタッフ育成に力を入れていると伺いました。具体的な仕組みはありますか。
伊藤社長: はい、当社のサービス品質を支えるのは、現場のスタッフです。
そのため、私たちは充実した研修体制と、手厚いバックアップ体制を整えています。
これにより、未経験者の方でも安心して、長く活躍できる職場環境を提供しています。
実際に、当社の研修制度は、応募の決め手の一つとなることも多いです。
木村: どのような研修内容ですか。
伊藤社長: 例えば、訪問鍼灸部門は「基礎研修」を実施します。
この研修では、鍼や徒手療法といった基礎的な治療技術から、介護の基礎知識まで、幅広く学ぶことができます。
さらに、訪問治療ならではの専門知識や技術、例えば、緊急時の対応方法なども習得します。
また、からだケアオリジナルの治療法やリハビリ、デイサービスでの施術や指導方法、医師や介護関係者、利用者様との関係構築の重要性、保険制度の基礎知識、書類作成といった実務についても、詳細に指導しています。
木村: なるほど、充実していますね。実践的な学びの機会もあるのですか。
伊藤社長: もちろんです。基礎研修を終えると、「実践研修」へと進みます。
ここでは、教育担当のトレーナーが同行し、実際に利用者様のご自宅や施設に伺います。
利用者様やご家族との会話、先輩スタッフの施術を間近で見学する機会を通じて、「おもてなし」の基本やサービスの模範を肌で感じ、指導を受けながら実践力を高めます。
このOJTを通じて、現場での対応力を着実に身につけられるのです。
木村: 確かに。では、現場でのサポート体制はいかがですか。
伊藤社長: はい、私たちは「悩みは一人で抱え込まなくて良い」という考え方を大切にしています。
特に訪問の仕事は一人で行うことが多いため、孤独感を感じやすい側面もありますが、現場の責任者が定期的なミーティングや勉強会を開催し、スタッフが気軽に相談できる連絡体制を常に整えています。
これにより、問題が迅速に解決され、スタッフが安心して仕事に取り組めるよう工夫しています。
先輩スタッフも、自身の経験を活かし、親身になって相談に乗る文化が根付いています。
木村:「悩みは一人で抱え込まなくて良い」という企業文化は凄いです。
では、その後のキャリアアップの機会はありますか。
伊藤社長: はい、個人のスキルアップを支援するため、社内資格制度や、内外の様々な研修を多数用意しています。
評価制度も明確で、半年ごとの自己評価と他者評価に基づいた評価を行い、個別面談を通じて昇給が決まるシステムです。
これは、スタッフの努力や成長が適正に給与に反映され、自身のキャリアアップを具体的に目指せる仕組みとなっています。
定期勉強会では、最新の技術や知識を習得し、専門家としての成長を促進しています。
木村:なるほど、勉強になります。 働きやすさも重視されているそうですね。
伊藤社長: はい、「患者様第一」であると同時に、「働きやすい環境」を同じくらい大切にしています。
スタッフのメインの年齢層は20代から50代ですが、70代のスタッフも活躍しており、ライフスタイルに合わせて柔軟なシフトを組めるようにしています。
家庭と仕事を両立しているスタッフも多く、お互いにフォローし合う文化が根付いています。
また、一度退職された方が、ライフスタイルの変化に合わせて再度当社で働きたいと相談に来ることも多く、「いつでも戻っておいで。力になるよ」というスタンスで迎え入れています。
今後の「株式会社からだケア」の事業展開について
木村: 今後の事業展開について、ビジョンをお聞かせください。
伊藤社長:弊社は多摩地域で35年続く整骨院を母体にしたグループで、その他の事業は患者様や地域からのニーズで生まれたサービスになります。
今後重要となる地域包括ケアシステムの中で、医療と介護はやはり医師を中心として構築されていくかと思っています。
現在、弊社訪問マッサージやデイサービスにおいても、顧問整形外科医より定期的にアドバイスをいただきサービスに活かしております。
今後は更なる医療連携のため「グループ内医療法人」を立上げ、整形外科や内科など内部の医師監修による専門的な施術やリハビリとの情報連携を創造し、弊社の持つ様々なサービスにより「健康寿命を5歳引き上げる」という目標を更に追求していきたいと思っています。
各事業の強みを活かし、弱みは他事業でフォローできる仕組みと連携(図)に取り組んでいきたいと考えています。
木村: 「健康寿命を5歳引き上げる」の本気度が伝わってきます。
具体的にはどのようなことに注力されますか。
伊藤社長: 「寝たきりゼロ」を目指し、在宅介護に貢献できる、信頼される治療家の育成に力を注ぎます。
日野市が策定している「日野市高齢者福祉総合計画」においても、地域包括ケアシステムの推進、介護を支える担い手の確保とサービスの充実、高齢者のフレイル予防と介護予防の推進などが重要な施策として掲げられています。
私たちの事業は、これらの市の目標と合致しており、地域と連携しながら具体的かつ専門的な取り組みを進めていきます。
木村: 日野市の目標と一体なのですね。素晴らしい!地域社会への貢献については、どのように考えていますか。
伊藤社長: 超高齢化社会が進む中で、介護人材の確保は喫緊の課題であり、介護予防の推進も不可欠です。
私たちは地域に密着し、医療機関や他の介護事業者との連携を一層強化することで、利用者様が住み慣れた地域で、最後まで自分らしく、安心して暮らし続けられる社会の実現に貢献していきます。
また、AIやIoTといった先端技術を活用した見守りシステムの検討も進め、高齢者の安心・安全な生活を多角的にサポートする仕組みづくりにも挑戦していきます。
木村: 本日は貴重なお話をありがとうございました。大変勉強になりました。
伊藤社長: こちらこそ、ありがとうございました。
株式会社からだケア
所在地:東京都日野市日野本町2‐10‐27
代表取締役:伊藤 正樹
一般社団法人イーライフ交通
所在地:東京都日野市日野本町3‐8‐2
代表理事:伊藤 正樹
あとがき
株式会社からだケア 伊藤社長は、本当に勉強熱心な方です。
2025年5月20日〜21日 第6回 CareTEX仙台 夢メッセみやぎ(主催者:ブティックス株式会社様、東京都港区)の私の専門セミナーに参加くださいました。
CareTEX仙台様は、新型感染症の時期を除き、1500名から2000名前後の方が参加されていると思います。
セミナー(講演)終了後、名刺交換したことがキッカケです。
お会いするたびに、さまざま課題(宿題)を頂きます。
CareTEX仙台様6回開催の内5回連続で出講させて頂いておりますが、こんなに勉強熱心な方は初めてです。
発想や着眼点が素晴らしいです。
今後ともよろしくお願いいたします。