令和8年度(2026年度)の予算編成方針や、2025年末に公表されたEBPM※(証拠に基づく政策立案)アクションプランなど、政府の最新の方針が明らかになりました。
内閣府 経済財政諮問会議の資料は2万1,000文字強に及びます。
これらは単なる行政文書ではなく、今後の日本経済がどこへ向かい、どこに「予算(=ビジネスチャンス)」が配分されるかを示す羅針盤です。
今回は、内閣府が公表した膨大な資料(「令和8年度予算編成の基本方針」「EBPMアクションプラン2025」「改革実行プログラム2025」等)を徹底的に読み解き、経営者が自社の経営計画策定において押さえておくべき重要ポイントを解説します。
キーワードは「デフレからの完全脱却と成長型経済への移行」、「人への投資(賃上げ)」、そして「EBPM(証拠に基づく経営)」です。
※EBPM:Evidence-Based Policy Making:エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング
執筆:株式会社オンリーワン経営 経営コンサルタント/AIコンサルタント 木村 淳(あつし)
1. 「コストカット型」から「付加価値創出型」への転換

生成:NotebookLM Nano Banana Pro 参照:内閣府 資料
まず、マクロ経済の認識を改める必要があります。
政府は、日本経済が「デフレ・コストカット型経済」から、その先にある新たな「成長型経済」へ移行する段階に来たと明言しています。
名目GDPは600兆円を超え、賃上げ率も2年連続で5%を上回る動きが出ています。
これは経営者にとって何を意味するか。それは、「安く作って安く売る」時代の終わりです。
これからの経営計画では、以下の視点が不可欠になります。
- 価格転嫁の徹底: 原材料費や労務費の上昇分を適切に価格に転嫁し、それでも選ばれる高付加価値な商品・サービスへの転換が求められます。政府も公的需要(官公需)において価格転嫁を徹底する方針を示しています。
- 「成長投資」へのシフト: 守りのコスト削減ではなく、AI・半導体、GX(グリーントランスフォーメーション)、DX(デジタルトランスフォーメーション)といった成長分野への投資が推奨されています。
2. 「人への投資」と労働市場改革への対応

生成:NotebookLM Nano Banana Pro 参照:内閣府 資料
経営計画の中で最も頭を悩ませるのが「人」の問題でしょう。
政府の方針は明確で、「物価上昇を上回る持続的な賃金上昇」を目指しています。
これを実現するために、以下の制度変更や支援策が動いています。
① 「年収の壁」と社会保険の適用拡大
パート・アルバイトを多く雇用する企業にとって、いわゆる「106万円の壁」「130万円の壁」への対応は急務です。
政府は、短時間労働者への被用者保険(社会保険)の適用拡大を進めており、企業規模要件の撤廃や非適用業種の解消に向けた法改正(令和7年年金制度改正法)を着実に施行するとしています。
経営計画においては、社会保険料負担の増加を見込みつつ、短時間労働者が「壁」を意識せずに働ける環境整備や、正規雇用への転換促進を織り込む必要があります。
② リ・スキリングとジョブ型人事
「三位一体の労働市場改革」として、リ・スキリング(学び直し)による能力向上支援、個々の企業の実態に応じた職務給(ジョブ型)の導入、成長分野への労働移動の円滑化が進められています。
特に、在職者への学び直し支援策については、過半が「個人経由」での給付が可能となるよう支援が拡充される見込みです。
企業としては、社員が自律的にスキルアップできる環境を整え、それを賃金に反映させる人事制度の構築が、人材確保のカギとなります。
「強い経済」「強い経営」を支えるのは、高度な専門性を持つ人材です。
政府は「三位一体の労働市場改革」を掲げ、個々の企業の実態に応じたジョブ型人事の導入と、労働移動を円滑にするリ・スキリングを強力に推進しています。
特に注目すべきは、AI・デジタル技術の戦略的活用です。
政府方針では、生成AI等の利活用によるサービスの生産性向上を重視しており、全ての産業においてDX人材の育成が急務とされています。経営計画には、以下の3点を組み込むべきです。
- AI活用による業務の再定義: 単なる効率化に留まらず、AIによって生み出された時間を、直接的な顧客対応や高付加価値な創造的業務に充てる「タスク・シフト」を明確化します。
- ジョブ型人手による専門性の評価: 教職や研究、介護などの専門職において進められているように、職務(ジョブ)の内容や成果を客観的指標(KPI)で評価する仕組みを導入し、優れた人材の確保・処遇改善を図ります。
- 戦略的なリ・スキリング投資: 半導体やGXといった17の戦略分野への参入に合わせ、従業員のスキルセットをデータに基づき再構築(リ・スキリング)するための投資を計画に盛り込みます。
参考:17の戦略分野 ※政権発足当時の所管大臣
①AI・半導体【小野田大臣(人工知能戦略)、赤澤経産大臣】
②造船 【金子国交大臣、小野田大臣(経済安全保障)】
③量子 【小野田大臣(科学技術政策)】
④合成化合物・バイオ 【赤澤経産大臣】
⑤航空・宇宙 【小野田大臣(経済安全保障)】
⑥デジタル・サイバーセキュリティ 【赤澤経産大臣、松本デジタル大臣】
⑦コンテンツ 【小野田大臣(クールジャパン)】
⑧フードテック 【鈴木農水大臣】
⑨資源・エネルギー安全保障・GX 【赤澤経産大臣】
⑩防災・国土強靭化 【牧野大臣(国土強靭化)】
⑪創薬・先端医療 【小野田大臣(科学技術)、松本デジタル大臣】
⑫フュージョンエネルギー 【小野田大臣(科学技術)】
⑬マテリアル(重要鉱物・部素材)【赤澤経産大臣】
⑭港湾ロジスティクス 【金子国交大臣】
⑮防衛産業 【赤澤経産大臣、小泉防衛大臣】
⑯情報通信 【林総務大臣】
⑰海洋 【あかま大臣(海洋政策)】
3. DX・GXによる「稼ぐ力」の強化

生成:NotebookLM Nano Banana Pro 参照:内閣府 資料
政府の予算配分は、DXとGXに集中しています。これらを「コスト」ではなく「投資」と捉えられるかが勝負です。
① GX(グリーントランスフォーメーション)
2030年度の温室効果ガス46%削減に向け、今後10年間で150兆円超の官民投資を目指す「GX経済移行債」を活用した支援が本格化します。
- 製造業: 排出削減が困難な産業(鉄鋼、化学等)における燃料・製造プロセス転換への支援。
- 運輸: EVや燃料電池車、持続可能な航空燃料(SAF)の導入支援。
- 家庭・業務: 高効率給湯器や省エネ設備の導入支援。
これらは補助金の対象となるだけでなく、サプライチェーン全体で脱炭素が求められる中、早期に取り組むことで「選ばれる企業」になるための条件となりつつあります。
② DX(デジタルトランスフォーメーション)※
医療、介護、建設、物流など、人手不足が深刻な業界を中心に、DXによる生産性向上が強力に推進されます。
- 医療DX: マイナ保険証の利用促進、電子カルテ情報共有サービスの構築が進みます。医療機関や薬局は、これらへの対応が必須となります。
- 介護DX: 介護ロボットやICTの導入支援、ケアプランデータ連携システムの普及が進められています。介護報酬改定でも、テクノロジー活用による生産性向上が評価される方向です。
- 建設・インフラDX: 「i-Construction 2.0」として、建設現場のオートメーション化やBIM/CIMの原則適用が進みます。3D都市モデル(PLATEAU)の活用も拡大しており、建設・不動産業界はデータ活用が競争力の源泉になります。
※DXにはChatGPT/Gemini/Claude等の生成AI活用、フィジカルAI/AI搭載のロボット、IOTも含まれると解釈しています。
4. 半導体・AI・防衛産業への参入機会

生成:NotebookLM Nano Banana Pro 参照:内閣府 資料
政府は「経済安全保障」の観点から、特定の重要物資や技術基盤の強化に巨額の予算を投じています。これは大企業だけの話ではありません。
- 半導体: 2030年に国内半導体関連売上高15兆円超を目指し、製造装置や部素材メーカーも含めたサプライチェーン全体への投資支援が行われています。地方の中堅・中小企業にとっても、工場進出に伴う関連需要は大きなチャンスです。
- 防衛産業: 防衛生産基盤強化法に基づき、サプライチェーンの強靭化や事業承継、サイバーセキュリティ強化への支援が行われています。また、スタートアップ企業の防衛産業参入を促進するための合同推進会なども開催されており、優れた技術を持つ中小企業には新たな販路が開かれています。
5. 「2040年問題」を見据えた事業再編と医療・介護

生成:NotebookLM Nano Banana Pro 参照:内閣府 資料
2040年頃には高齢者人口がピークを迎え、現役世代が急減します。これを見据え、医療・介護の提供体制は大きな変革期に入ります。
- 地域医療構想: 2040年を見据えた「新たな地域医療構想」の策定が2026年度から始まります。病床の機能分化や連携、再編が進む中で、医療・介護事業者は自社の立ち位置(急性期か、回復期か、在宅か)を明確にする必要があります。
- 経営の大規模化・協働化: 介護分野では、社会福祉連携推進法人の活用など、経営の協働化・大規模化が推奨されています。人材確保やシステム投資の効率化のため、M&Aや提携を含めた経営戦略が不可欠です。
6. EBPM(証拠に基づく経営)の視点を取り入れる

生成:NotebookLM Nano Banana Pro 参照:内閣府 資料
今回の政府資料で特徴的なのが「EBPM(証拠に基づく政策立案)」の徹底です。
政府は予算事業の効果を、ロジックモデルやKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を用いて厳格に検証し、効果が乏しい事業は見直す方針を打ち出しています。
これは企業経営にも通じる話です。
- 設備投資の融資/補助金申請: 今後の設備投資の融資申請や補助金申請では、単に「設備を買います」ではなく、「その投資によってどのようなアウトカム(成果)が出るのか」を、ロジックとデータで示す能力がより一層求められます。
- 自社の経営管理: 政府と同様に、自社の施策についても「KGI(最終目標)」「KPI(中間指標)」を設定し、データに基づいてPDCAを回す体制を構築しましょう。例えば、人的資本経営において「研修実施回数(アウトプット)」だけでなく、「それによる従業員エンゲージメントの向上や離職率低下(アウトカム)」を測定するといった視点です。
まとめ:2025-2027年に向けた経営計画の指針

生成:NotebookLM Nano Banana Pro 参照:内閣府 資料
以上の政府方針を踏まえ、これからの経営計画に盛り込むべき3つの柱を提案します。
- 「賃上げ」を前提とした高付加価値化プラン
- 人件費の上昇をコスト増として嘆くのではなく、優秀な人材を確保するための投資と捉える。
- その原資を稼ぐために、AI/DXやGXを活用して生産性を高め、価格転嫁できる強い商品・サービスを作る。
- 国の「重点投資分野」との連動
- 半導体、防衛、医療・介護DX、脱炭素など、国がお金を流そうとしている分野に、自社の技術やサービスが関与できる余地はないか再点検する。
- 補助金や税制優遇措置(賃上げ促進税制、省エネ投資補助金など)をフル活用し、投資リスクを低減する。
- データドリブンな経営管理(EBPM)
- 勘や経験だけでなく、データに基づいて意思決定を行う。
- 政府が公開しているデータ(e-Statや各種業界統計)や、自社の経営データを「見える化」し、客観的な指標で進捗を管理する。
「デフレからの脱却」は、過去30年間の「守りの経営」からの脱却でもあります。
政府が掲げる「責任ある積極財政」 の波に乗り、リスクを取って「成長投資」へと舵を切る。そんな攻めの経営計画を策定し、激動の時代を勝ち抜いていきましょう。
あとがき
2026年1月17日現在 これらの資料は、直接「内閣府」のHPに掲載されています。
このような経営者にとって重要なマクロ/ミクロ政策について、日経新聞はじめ、大手新聞社、公共放送/民放では取り上げません。
特に2020年代から、政府や各省庁、地方公共団体より「一次情報」を直接取得することが無料でしかも簡単にできるようになりました。
2025年の夏以降は、膨大な資料ですが、AIに読み込ませ、自社の方針書/計画書に加筆修正する様に依頼するだけで、3~5分出来上がるようになりました。
ましてや私のような経営コンサルタントに、高額な費用を払って中期ビジョン作成など依頼する必要はありません。
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生成:NotebookLM Nano Banana Pro 参照:内閣府 資料







