今回は、仙台市青葉区宮町に本部があり、設立60年、社会福祉法人青葉福祉会 理事長 庄子 秀平様です。
理念は「生涯福祉」です。
社会福祉法人として、「人々のために一生涯のどの時点においても、自立に向かうための環境を提供する」とのことです。
その事業展開を詳しくお伺いします。
執筆/撮影:オンリーワン経営 木村 淳
社会福祉法人青葉福祉会の事業内容


木村:庄子理事長 本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございます。
社会福祉法人青葉福祉会様は、多岐にわたる事業展開と地域に根差した活動で知られています。
その取り組みについて、詳しくお聞かせ頂きたいと思います。
まず、青葉福祉会様が展開される事業の概要をお聞かせください。
庄子理事長: 木村さん、こちらこそ、よろしくお願いします。
では、当法人の概要をお話ししますね。
仙台市青葉区宮町に本部があります。
1965年設立、今年(2025年)60年になります。
スタッフ数約370名の社会福祉法人です。
仙台市内中心に主に二つの福祉事業を展開しています。
一つ目は高齢者福祉事業です。
二つ目は児童福祉事業です。
高齢者福祉事業
木村:では、1つ目の高齢者福祉事業は、どのような業態やサービスを提供していますか。
庄子理事長:はい、「高齢者福祉事業」は、利用者がどのような状態であってもその方に合ったサービスを提供できるよう、幅広く事業を展開しております。
大きくは、安心して暮らせる場所を提供する入所サービスと、住み慣れた地域で暮らし続けるための在宅サービスに大別されますが、いずれも個々の利用者に適したものである必要があります。
また、利用者の状況や状態は時とともに変化するため、提供するサービスもその時々の状況に応じて柔軟に見直します。
こうした中で、私たちは今、その方に最もふさわしい支援をお届けできるよう事業の裾野を広げております。
利用者の状態が変わったからといって当会が「ご支援できません」と申し上げることが、可能な限りないようにしたい――その思いで取り組んでおります。
木村: いや~、確かに多岐にわたっていますね!
しかも、新しい業態=小規模多機能型居宅介護や看護小規模多機能型居宅介護にも取り組みなのですね。
凄いですね。
庄子理事長:ありがとうございます。

保育事業(児童福祉事業)
木村:次に、大きな事業の柱である「児童福祉事業」について教えて下さいませんか?
庄子理事長:はい、2つ目の大きな柱である「児童福祉事業」について説明します。
「児童福祉事業」は、保育所が不足していた状況の中で地域の役に立ちたいとの思いから、昭和47年に青葉保育園を設立し、共働き世帯への子育て支援に取り組んでまいりました。
さらに、今後の一層の少子化や社会状況の変化を見据え、さまざまなご家庭や子育て世帯、子どもの状況によって生まれるニーズに応えるため、2024年までにすべての保育所を「認定こども園」へ移行しました。
加えて、令和7年度からは、すべての子どもの育ちと子育て世帯を支援することを目的に、「こども誰でも通園制度」の実施も行っております。
木村:青葉こども園とアルテイル宮町(特養)は、同一敷地で運営され、子供たちの元気な声を聴くだけで、利用者の方も元気になるのでは?
庄子理事長:そうですね。皆さんに喜んでいただいていると思います。
おっしゃるとおり、青葉こども園とアルテイル宮町は同一敷地で運営しており、相乗効果の「すごさ」を実感しています。
たとえば、子どもたちが利用者(お年寄り)のそばへ行くと、利用者の方に本当に嬉しそうな「笑顔」が見られます。
少子高齢化と核家族化が進むなか、子どもたちがお年寄りと接する機会は年々少なくなっています。
青葉こども園では、子どもたちが高齢の方と直接コミュニケーションを取ることができます。
お盆の時期には、保育教諭に付き添われて、亡くなった利用者の仏壇に手を合わせる場面も見受けられます。
そうした経験ができる環境がある、ということですね。
木村:なるほど、同一敷地での運営は、子供たちの成長につながる面も大きいということですね。
木村:こちら「青葉こども園」は、仙台駅から1.5㎞位の市内の中心地域に位置しています。
都会でありながら、園庭では、子供たちが裸足で元気に遊んでいますよね!
その姿を見ると元気がもらえます。
庄子理事長:そうですね。
子どもたちの元気な姿は、地域の皆さんにもパワーを与えていると感じます。
木村:ほんとうに凄いですね。

生活困窮者自立支援事業
木村:社会福祉法人として、その他にも事業や業態はあるのでしょうか?
庄子理事長:はい。仙台市からの委託で「仙台市路上生活者等自立支援事業」も行っています。
2003年に、ホームレスの方など路上生活者の自立支援を目的として「清流ホーム」をスタートしました。
仙台市内を巡回して路上生活者の把握や相談にあたる巡回相談、清流ホームへの入所から就労自立までの支援、そして利用終了者(OB)へのアフターフォローを主に実施しております。

その他の事業
木村:高齢者福祉と児童福祉事業の他に、生活困窮者自立支援事業もあるのですね。
本当に、社会福祉法人として幅が広いですね。他にもありますか?
庄子理事長: はい。教育研修事業と奨学金貸与事業、そして2025年4月からはサービス付き高齢者向け住宅の事業も行っています。
教育研修事業では、毎年1回、公開セミナー「元気DAそう会」を開催しています。
今年(2025年)の「元気DAそう会」のテーマは、看護小規模多機能型居宅介護でした。
通称「看多機(かんたき)」に詳しい外部講師に登壇いただき、利用方法などを参加者の皆さんと一緒に学びました。
地域の皆さんに知っていただき、身近な施設になりたいという思いから、「元気DAそう会」のテーマに据えました。
昨年(2024年)は、障害者福祉事業について皆さんと学びました。
当法人の理念を実現するために、障害者福祉事業へチャレンジする必要があると感じ、勉強を進めています。
仙台市市民会館で開催し、たくさんの方にご参加いただきました。
木村:そうですね。障害者福祉事業もとても大切な事業ですね。
その他、いかがでしょうか?
庄子理事長: はい、社会福祉事業ではなく、通常の収益事業も行っています。
その1つが「学生寮の運営」、もう一つが、不動産賃貸事業です。
木村:本当に幅広いですね。それだけ、地域社会には幅広いニーズがあるということですね。
いや~勉強になります。
何といっても「生涯支援」の理念通り、事業展開されている点は素晴らしいです。

青葉福祉会の特徴
木村: 社会福祉法人が多い中、青葉福祉会様の特徴はなんでしょうか?
庄子理事長: はい。社会福祉法人は一般の企業とは異なり、課税面で優遇されています。
しかし、理事長として私は、社会福祉法人であっても「適正に利益」を上げることが重要だと、常々職員に伝えています。
私は「適正利益」を上げたうえで、使途を次の3つに充てることを同時に話しています。
1つ目は、働くスタッフのために使う(賃上げ等を含めた待遇・処遇改善)。
2つ目は、いま利用されている子どもたちや利用者様のために使う(施設の維持管理)。
3つ目は、地域の方々のために使う、ということです。
「地域の方々のため」とは、新たに福祉事業を行って地域福祉の充実を図ることや、地域の皆様の働く場所をつくること、さらに公益的な取り組みとして「こども食堂」「認知症カフェ」などを実施することを指します。
社会福祉法人として、地域への還元をこれからも続けていきたいと考えています。以上のことが、青葉福祉会の特徴ではないかと考えています。

社会福祉法人青葉福祉会の施設一覧
木村: 多様な事業を支える具体的な施設を改めてお教えいただけますか。
庄子理事長: はい、わかりました。
当法人の主な施設はこちらです。
一覧にしてみました。
詳しくは、青葉福祉会のHPに掲載しています。URLも紹介しますね。
小規模多機能
小規模多機能型居宅介護 こめっと宮町 https://www.aofuku.jp/pages/56/
看護小規模多機能型居宅介護 こめっと台原 https://www.aofuku.jp/pages/158/
特別養護老人ホーム (介護老人福祉施設)
アルテイル青葉 https://www.aofuku.jp/pages/58/
アルテイル宮町 https://www.aofuku.jp/pages/68/
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)
青葉の風 https://www.aofuku.jp/pages/69/
はちまんの風 https://www.aofuku.jp/pages/92/
ケアハウス(軽費老人ホーム ケアハウス/特定施設入居者生活介護)
ケアハウス光陽ホーム https://www.aofuku.jp/pages/93/
ケアハウス青葉ハイツ https://www.aofuku.jp/pages/94/
デイサービス(通所介護)
三居沢デイサービスセンター https://www.aofuku.jp/pages/95/
八幡デイサービスセンター https://www.aofuku.jp/pages/96/
訪問介護
ヘルパーステーション青葉の家 https://www.aofuku.jp/pages/97/
居宅介護支援センター
つながる相談室 https://www.aofuku.jp/pages/98/
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
アルテイル24 https://www.aofuku.jp/pages/99/
サービス付き高齢者向け住宅
らぷらす台原 https://www.aofuku.jp/pages/160/
【認定こども園】
青葉こども園 https://www.aofuku.jp/pages/104/
荒井あおばこども園 https://www.aofuku.jp/pages/105/
栗生あおばこども園 https://www.aofuku.jp/pages/106/
八木山あおばこども園 https://www.aofuku.jp/pages/114/
【学生寮】
学生会館 フレンデル八木山 https://www.aofuku.jp/pages/116/
学生専用賃貸マンション エクレール青葉 https://www.aofuku.jp/pages/117/
生活困窮者等自立支援
仙台市路上生活者等自立支援ホーム 清流ホーム https://www.aofuku.jp/pages/119/
木村:施設一覧として拝見すると、改めて多くの事業/業態を展開されていますね。
庄子理事長:はい、ありがとうございます。
これらの事業展開は、青葉福祉会の理念を具現化したものですよ。
当会の理念は「生涯福祉」です。
もう少し詳しく紹介しますね。
『私たちは福祉の原点を「自分が幸せでありたいと思うこと」そして「大切な人に幸せであってほしいと願うこと」と考えています。
また、人々のために、生涯のどの時点でおいても、自立に向かうための環境を提供する「生涯福祉」を理念としています。
このために『尊厳と習慣』こそが幸いの源であるとの考えにたって、「乳幼児から終末まで」つながりを持った事業を展開し、幅広い分野の福祉活動を実施することによって、市民生活の福祉の向上に貢献していきたいと考えています。』
木村:なるほど。一生涯のなかで、困った時に様々サポートしていただけるのですね。
庄子理事長:はい、そうありたいと思っています。

人材育成
木村:それではこのように多くの事業/業態を運営する中で重要な点は何でしょうか?
庄子理事長:はい、人材だと思います。
これだけ多くの事業/業態を運営する為には、本当に「人材」が大事です。
木村:「人材」に対する取り組みについてお聞かせくださいませんか?
庄子理事長:はい、「人材」について説明しますね。
青葉福祉会としては、
① 働きつづけられる職場をつくる、② 働きつづけたいと思ってもらえる職場をつくる——この2点を目指しています。
「働きつづけたいと思ってもらえる職場」とは、職場環境が良いことに加え、スタッフ一人ひとりのキャリアアップや成長を支援する組織であることだと考えています。
その実現のために、施設長や管理者がスタッフと日常的にコミュニケーションを取ることを重視し、各スタッフが「どこに向かいたいのか」「いつまでに目標を達成したいのか」を丁寧に聞き取るコミュニケーション研修を取り入れました。
参加した施設長や管理職からは、「スタッフの成長を支援するのが施設長・管理職の仕事であると再認識できて良かった」との声が上がっています。
現在は、管理職が学べる場づくりやコミュニケーション能力を高める研修から、管理職同士が交流できる研修へと進化しているところです。
将来的には、リーダークラスまで研修対象を広げ、組織全体の底上げを図っていきたいと考えています。

木村: 最後に、今後の地域社会との関わりについてお願いします。
庄子理事長:理念を体現する事業展開と、人を育てるスタッフづくりを進めてまいります。
少子高齢化が進むなかで、地域ニーズに即した福祉を提供する担い手となること。
さらに、今後は制度だけではフォローしきれない地域課題にも取り組んでいきたいと考えています。
そして、「地域に青葉福祉会があってよかった」と思っていただける法人を目指します。
木村: 本日は貴重なお話をありがとうございました。
社会福祉法人 青葉福祉会様 WEB



