インフレ(物価上昇)とデフレ(物価下落)の時代における企業経営の違いは、価格戦略、在庫管理、人件費、資金調達、投資判断、管理手法などの面で大きく異なります。
それぞれの時代の特徴と、企業が取るべき経営戦略を解説します。
インフレとは何か?
インフレとは、物価が継続的に上がり続ける※1ことです。
※1.平易な表現方法にしました。
物価と個別物価の違い
- 個別物価:個々の商品やサービスの値段 例:キャベツやリンゴ1個の値段
- 物価:たくさんの商品やサービスの値段を平均した、全体の物価水準です。
物価とは、国全体の商品やサービスの値段の平均値
例:消費者物価指数、卸売物価指数
個別物価
個別物価:個々の商品やサービスの値段 例:キャベツやリンゴ1個の値段
物価
物価:たくさんの商品やサービスの値段を平均した、全体の物価水準です。
あるあるの間違い
あるあるの間違い:キャベツが500円になった。物価高騰だ!大変だ!大変だ!
※このような表現をしないように注意しましょう!私も混同して使うことがあります。反省しています。
インフレの経済環境とは
「国全体の商品やサービスの値段の平均値」が「継続的に上がり続けること」です。
なお、継続的とは「数ヶ月~数年の間」をさします。
消費者物価指数は?
総務省 消費者物価指数 2020年基準 公表日令和7年1月24日を確認します。
消費者物価が「数ヶ月~数年の間」「継続的に上がり続けているか?」確認します。
以下のデータとグラフから確認出来ました。
日本は、2021年より、インフレ経済に転換したことが確認できます。
総務省HP 消費者物価指数PDF
https://www.stat.go.jp/data/cpi/sokuhou/tsuki/pdf/zenkoku.pdf
日本全体のGDPを確認しましょう!
名目GDP: その国のその年の「物価」で計算した、一定期間(通常は1年間)に生産されたすべての商品やサービスの価値を合計です。
日本国全体として、成長しているか確認してみます。
総務省及びIMF(国際通貨基金)データとグラフより、日本国全体として成長していることが確認できます。
2024年のGDP予測
内閣府の令和6年度(2024年度)の予想を確認します。
内閣府HP 政府経済見通し 概要PDFより
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日本の名目GDPの推移
日本の名目GDPの推移を確認します
IMF(国際通貨基金)にデータがありました。
過去10年の名目GDPの推移を木村がエクセルでグラフ化しました。
日本の名目GDPの予想を確認します
IMF(国際通貨基金)にデータがありました。
将来の名目GDP予想を木村がエクセルでグラフ化しました。
インフレ経済下の企業経営
総務省 消費者物価指数、内閣府及びIMFのGDP推移を確認すると日本はインフレ経済にあります。
インフレ経済下の企業経営に転換しましょう!
特徴
- 価格転嫁しないと利益が圧迫される。
- 物価が上昇し、原材料費や人件費などのコストも上がる。
- 資産価値が上昇しやすく、借金の実質負担が軽くなる。
- 金利が上昇しやすく、借入コストが増加する。
- 2025年日本政府 内閣府は、名目2.7%※2.アップとしています。但し内閣府は毎年低めに予想しています。
※2.内閣府HP 政府経済見通し 概要PDFより
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経営戦略
価格転嫁の徹底
- 原材料費や人件費の上昇分を価格に反映させる。
- 価格競争に巻き込まれないためのブランド価値向上が重要。
在庫の活用
- 仕入れコストが上がる前に、必要な原材料や商品を確保。
- ただし、過剰在庫による資金繰りの悪化には注意。
借入活用
- インフレ時は借金の実質価値が低下するため、設備投資や事業拡大のために借入を活用するのが有利。
- 資金繰り中心の経営とする。具体的には、売上=入金の取引条件とする、または、入金の取引条件を見直す。
労務管理の最適化
- 人件費上昇に対応するため、生産性向上やAI/IT/DX導入を進める。
- 一人当たりの手取り額を増やす。
- ライバルと比較して月額最低2万円、出来れば5万円UPする。
- 従業員満足度を高める工夫が必要。
- 特に年間休日を増やす
- 残業削減
- 深夜早朝帯の勤務シフトの取り止め
- フレックスタイム制導入
- 短時間正社員の推進
- 副業を解禁または推進
- 新卒一律採用を止め、年間採用
- 需要拡大に対してプロ人材を外注化して上手に使う。
デフレ経済下の企業経営
以下 デフレ時代の企業経営から脱却しましょう!
特徴
- 物価が下がり、売上が減少しやすい。
- 人件費や原材料費も低下するが、売上減少で利益率が低下する可能性が高い。
- 消費者心理が「まだ下がるかもしれない」となり、支出を抑える傾向がある。
- 資産価値が下がりやすく、借金の実質負担が重くなる。
経営戦略
コスト削減の徹底
- 固定費(家賃、人件費など)を見直し、変動費化できる部分は対応。
- 効率的な経営で利益率を確保。
付加価値の提供
- 価格競争に巻き込まれないため、差別化戦略(品質・サービス向上)を重視。
- 低価格戦略だけではなく、プレミアム戦略を選ぶことも重要。
在庫管理の最適化
- デフレ時は在庫価値が低下しやすいため、過剰な在庫を持たず、需要に応じた仕入れを徹底。
慎重な投資と借入管理
- 借入はデフレ時に重い負担となるため、慎重に判断。
- 設備投資は、ROI(投資対効果)が確実に見込めるものを選択。
インフレからデフレになる可能性は?
国際政治と国際経済は変数が多すぎて、明日の経済予測すら出来ません。
しかし、国内政治と国内経済は過去のGDP推移から予測できます。
2019年の消費税増税により日本経済は確実に腰折れ状態になりました。
IMF(国際通貨基金)データが証明しています。
コロナ禍の金融・財政政策は、名目GDP実績を見る限り成功でした。
今後日本経済が、インフレからデフレ、景気後退になる要素は「増税」のようです。
インフレ経済とデフレ経済の経営対策の比較表
インフレ経済とデフレ経済の経営対策の比較表
項目 | インフレ経済の経営対策 | デフレ経済の経営対策 |
---|---|---|
価格戦略 | 価格転嫁の推進 | 低価格競争を避ける |
ブランド価値向上、付加価値向上 | 付加価値提供 | |
取引条件の見直し | 法律に基づいた取引交渉 | |
消費者心理 | 「今買わないと高くなる」→購買意欲増 | 「まだ下がるかも」→消費抑制 |
デフレにより賢い消費へ転換。 必要なモノと不必要なモノのメリハリがある消費行動 | 安いが良いのも、極端なブランド嗜好 | |
在庫管理 | 仕入れを早める | 必要最低限に抑える |
過剰在庫、不良在庫撲滅 | 同左 | |
生成AI/IT/DX化/ロボット化 | 同左 | |
生産管理 工事管理 | 強い製品単品生産による稼働率UP | 多品種少量生産への対応 |
切替時間の削減 | 同左 | |
採算性の悪い製品の契約停止 | 同左 | |
労務管理 | 人件費上昇に対応、手取り額を増やす | 固定費削減と効率化/人的リストラ |
生成AI/IT/DX化・生産性向上 | 単純作業人材の変動費化 | |
AI搭載のロボット化/AIエージェント | パート・アルバイト・派遣・請負・外国人活用 | |
離職防止=休日増、残業ゼロ | 稼働率を優先した休日夜間早朝勤務シフト | |
勤務時間帯の改革 | 顧客要求事項に対応した生産体制/勤務体制 | |
利益管理 | 減価償却費+税引後利益>借入金返済額 | 減価償却費+税引後利益>借入金返済額 |
限界利益の「絶対額」確保 | 限界利益の「絶対額」確保 | |
資金調達 | 借入活用が有利 | 借入負担が重くなるため慎重に |
経営管理 | 「止めること」を決める | 「やること」を決める |
OODAループ | PDCAサイクル | |
資金繰り中心の経営 | 資金繰り中心の経営 |
インフレ・デフレともに一長一短があり、それぞれの環境に応じた柔軟な経営戦略が求められます。
どちらの状況でも「限界利益の絶対額確保」と「資金繰りの管理」は特に重要なポイントです。
AI活用、AI人材育成に関する「経営相談」
AI活用、生成AI活用やAI研修、WEB求人、SNS、求人募集について「経営相談」を行っております。お気軽にお申し込みください。
WEBの制作/運用、Instagram、LINE公式アカウント等 制作/運用も行っております。
執筆者:株式会社オンリーワン経営 代表取締役 木村淳
執筆者:株式会社オンリーワン経営 代表取締役 木村淳
企業経営コンサルタント、医療コンサルタント、WEBコンサルタント、AIコンサルタント
医療分野は、5000名規模の医療法人グループと20年超の継続契約。
西暦 | 月 | 職種・所属・業務内容・その他 |
---|---|---|
1986(昭和61)年 | 4 | 株式会社タナベ経営入社能力開発部所属(現在タナベコンサルティンググループ 東証プライム) 新人賞、事務局優秀賞、努力賞、敢闘賞等社内表彰を受ける。 ) ) |
1997(平成9)年 | 4 | 同社経営協力部課長 経営協力部(経営指導・コンサルティング部門)にて、経営診断、調査、経営協力に取り組みます。 |
1998(平成10)年 | 4 | 同社 経営協力部部長代理(当時 34歳) |
2000(平成12)年 | 4 | 同社 東北支社長(当時 36歳 最年少支社長) |
2004(平成16)年 | 3 | 同社 退社(40歳の独立を目的とし退社)6ヶ月間創業準備を行います。 |
2004(平成16)年 | 9 | 株式会社オンリーワン経営を創業し代表取締役に就任する。2007年(平成19年)中小企業基盤機構経営支援アドバイザーに従事。 |
2019(令和元)年 | 9 | ノーコード・ロコードアプリを活用した業務改善コンサルティング開始 |
2021(令和3)年 | 2 | YouTubeセミナースタート |
2023(令和5)年 | 4 | ノーコード・ロコードアプリを活用した業務改善コンサルティングをバージョンアップ。「スマホ×アプリ×楽しいマッチング×褒め×見える化」コンサルティング実施。 |
2023(令和5)年 | 7 | SNSマーケティングコンサルタント。SNSマーケティングコンサルタント。ゼロからスタート。SNS初任者・新任担当者に向けた情報発信。後にWEBへ拡大。 |
2024(令和6)年 | 2 | 生成AIについて情報発信開始 Googleクチコミ対策、SEO対策、MEO対策、JEO対策、リアルなクチコミ対策の情報発信開始 クリニック・病院に特化した集客/集患=Googleビジネスプロフィール対策=MEO対策コンサルティングスタート。 【医師】を最大のコンテンツと偏見集客/集患=Googleビジネス特典対策=MEO対策を行う。 【取材記事】を「Local Medical Media & Local Media」として優良な取材記事を発信します。 |
資格研修の履歴
西暦/和暦 | 内容 |
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1999年(平成11年) | ISO9000審査員研修コース修了 |
2000年(平成12年) | ISO14001審査員研修コース修了 |
2000年(平成12年) | ISO27001(ISMS)差分審査準備完了コースコース |
2004年(平成16年) | 移行型ISMS審査員コース修了研修(情報セキュリティマネジメントシステム情報セキュリティー分野) |
2006年(平成18年) | ISO/IEC20000審査員コース修了 |
2006年(平成18年) | SAP内部ソリューションコンサルタント |
2010年(平成22年) | 「LCA(ライフサイクルアセスメント)トレーニングコース終了(ライフサイクルアセスメント:カーボンフットプリント関連)」 |
2011年(平成23年) | BS25999導入実践コース終了(BCPに関する規格) |
2012年(平成24年) | FSMS(ISO22000)審査員コース終了(食品安全マネジメントシステム) |
2019年(令和元年) | Cloud University※ スペシャリスト編修了研修 |
2019年(令和元年) | クラウドユニバーシティ ※アプリデザイナー編修了研修※サイボウズクラウドサービスの研修 |
2021年(令和3年) | 70%単独で動画・動画編集をマスターしました。残り30%は後藤先生、鈴木先生、小野先生のご指導です。 |
2024年(令和6年) | WEB、SNS集客・集患に関する知識を発信スタート。 生成AI:ChatGPT、Gemini、Claud3、Genspark、Perplexity、Bing、AISEO、Mapify等に関する情報発信スタート。 |
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