みちのく社会福祉協同組合 理事長 中山辰巳様
2019年2月 東北地方の社会福祉法人5団体で協同組合を設立。
設立趣旨は、外国人技能実習の監理団体=受け入れ組織として協同組合を選択しました。
行政機関も含め多くの方のご支援を頂き設立することが出来ました。
組織選定にあたっては、厚生労働省の担当者から「同じ特別養護老人ホーム運営の社会福祉法人を中心の組合員にする」ようアドバイスを頂きました。
今そのアドバイスが活かされています。
本音で語り合え、問題解決につながっています。
協同組合の加盟法人は、一般的に中小法人です。
技能実習生の監理団体からスタートして、現在は共同購入、職員研修も行うようになりました。
共同購入=組合価格によるスケールメリットは大きいです。
備品消耗品が値上がりしている中、そのメリットを、今 実感しているところです。
「大規模化」「共同化」がキーワード
全国の様々な組合組織を見ますと、大規模な組合員を擁して運営している協同組合もあります。
各法人が独立性を保ちながら、スケールメリットも生かせる組合にしていきたいと考えています。
2019年当初は、5法人からスタートしました。
現在7法人(2022年11月7日現在)
1.青森県 社会福祉法人青森社会福祉振興団
2.青森県 社会福祉法人貴望会
3.青森県 社会福祉法人緑風会
4.青森県 社会福祉法人報徳会
5.宮城県 社会福祉法人ライフの学校
6.福島県 社会福祉法人相馬福祉会
7.石川県 社会福祉法人篤豊会
です。
大きく2つに区分されます。
EPA介護福祉士候補者※1
技能実習生(介護)※2 です。
EPA介護福祉士候補者は、介護福祉士の資格を取得し日本で働くことを目指している人です。
技能実習生(介護)は、OJTを通じて母国へ介護技術の移転を目指す人々です。
平成20年から受け入れを開始しました。
介護福祉士の国家資格を取得し勤務に就くと在留期間の期限がなくなります。
EPA(経済連携協定)に基づき、日本の介護施設で就労と研修をしながら、日本の介護福祉士の資格取得を目指す外国の方々です。
名称は「EPA介護福祉士候補者」です。
対象はインドネシア、フィリピン、ベトナムです。
さらに、公益社団法人国際厚生事業団が紹介した受入機関と締結し雇用契約に明示された受入施設が必要です。
研修責任者の監督の下で日本の介護福祉士資格を取得することを目的とした研修を受けながら就労します。
介護福祉士の国家資格に合格すると在留資格が「特定活動」から「介護」にかわり在留期間の期限がなくなります。
平成5年に制度が創設されました。在留期間は5年です。
技能実習制度は,国際貢献のため,開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ,OJTを通じて技能を 移転する制度です。
厚生労働省の固有要件についての資料では、
「外国人介護人材の受入れは、介護人材の確保を目的とするのではなく、技能移転という制度趣旨に沿って対応。
職種追加に当たっては、介護サービスの特性に基づく様々な懸念に対応するため、以下の3つの要件に対応 できることを担保した上で職種追加。
① 介護が「外国人が担う単純な仕事」というイメージとならないようにすること。
② 外国人について、日本人と同様に適切な処遇を確保し、日本人労働者の処遇・労働環境の改善の努力 が損なわれないようにすること。
③ 介護のサービスの質を担保するとともに、利用者の不安を招かないようにすること。 」
一番初めのEPA介護福祉士候補者に恵まれました。
入所者の方、職員の理解も大きかったです。
EPA介護福祉士候補者受け入れの相当前から、職員には「人手不足の中、いろいろな国籍の人と仕事をすることになる」と話をしていました。
その上で、様々な場面で外国人を講師に招き勉強会を行いました。
インドネシアの生活習慣やイスラム教の教え等の勉強を行いました。お祈りの場所もつくりました。
事前に入所者様が受け入れて下さるか否かを確認しました。
2008年のEPAが初めでした。きっとインドネシアもエリート又は優秀な人材を出してくれたと思います。
全員インドネシアの看護大学卒業生、英語も堪能でした。
入所者の方は数日で受け入れてくれました。
入所者の方は、 EPA介護福祉士候補者が心配なく対応し、常時笑顔で接してくれたので、安心したと思います。
2008年から累計41名となります。
現在在籍している海外人材は12名です。
年内(2022年11月)にベトナムへ技能実習生受入れのマッチングに行ってきます。
日常的な介護業務は十分に出来ます。
日本入国時N3レベルの方が多いと思います。
6ヶ月で日常会話が出来るようになります。
当組合及び受け入れ法人では、日本語教育と介護福祉士試験対策教育を実施しています。
お陰様で3期生までは、100%一発合格でした。テキストの漢字にルビをふり勉強をしていました。
(※日本人も含めた合格率70%前後、EPA介護福祉士候補者合格率40%前後)
私も、1年間毎日漢字の添削(=音読み、訓読み、書き取り)をしました。
約30センチ以上の書類の束になったと思います。
メーカー・卸会社と交渉します。品物にもよりますが、単独で仕入れるよりも10%~20%以上は下がると思います。
もちろん、それ以上のものも沢山あります。お互いビジネスですので、具体的な品物や単価は言えませんが。
様々ものが値上がりする中、組合の共同購入はやっておいて良かったと実感しています。
組合への出資金と毎月の組合費はすぐに元をとることが出来ると思います。
お陰様で今年度も新しい仲間が複数増える予定です。
厨房の改革に取り組みました。
宮城県仙台市太白区に開設した特別養護老人ホームまるめろは、
佐賀県 中島製作所様のマイクロ波再加熱カート「ミールシャトル」と
ナリコマエンタープライズ様のクックチルを提供しています。
試食を10年以上重ねましたが、この食事は美味しいです。
厨房調理人材の早出出勤が無くなり全員8時に変わりました。
朝食は8時30分から提供しています。準備時間は30分だけです。
今後、団塊の世代を含め介護を受ける方々が増える中、職員の人手不足は深刻です。
技能実習生活用やICT機器導入等により、利用者満足と職員満足を両立する。
共同購入により施設のコスト構造見直しにも取り組んでいきたいと思います。
介護を受ける人口増によって財源も限られ、報酬単価も変化すると判断します。
先ほども申しましたように、組合は、各法人の自立性や独立性を保ちながら、人手確保やスケールメリット、共通の課題解決の良いツール(道具)だと思います。
全国ではEPA技能実習生受け入れの為に、監理団体や組合を設立したところも多いと思います。
是非、もう一歩踏み込んで共同購入や研修にも幅を広げて頂くことをお勧めします。
介護業界の発展につながっていくものだと思います。
わが組合も介護業界のモデルになるように精進してまいります。
【取材記事】みちのく社会福祉協同組合 理事長 中山辰巳様
2019年2月 東北地方の社会福祉法人5団体で「みちのく社会福祉協同組合」を設立しました。