今回のインタビューは、株式会社ジースポート 代表取締役 黒田篤(くろだあつし)様です。
「東京大学発ベンチャー」として設立されたヘルスケアTech企業です。
「ゆがみーる」というAIクラウド製品を提供しています。
「ゆがみーる」は、患者・利用者が自分では気づかない「からだのゆがみの見える化」するAIアプリです。
既に国内外1200カ所以上において導入実績があります。
患者・利用者の満足度の高さには、本当に驚かされます。
直近では、健康経営企業や学校(=学生・生徒の姿勢改善による学習時の集中力保持)からも注目されているAIアプリです。
執筆/撮影:オンリーワン経営木村淳
ジースポートの「ゆがみーる」製品について詳しく解説
木村:黒田社長、本日はお忙しい中、ありがとうございます。
黒田社長:こちらこそ、ありがとうございます。
木村:まずは、御社の主力製品「ゆがみーるクラウド」(以下「ゆがみーる」)について、詳しくお話を伺えますでしょうか?
WEBによると「ゆがみーる」は【公式】AI姿勢分析・筋バランス分析 ゆがみーるクラウドアプリとあります。「ゆがみーる」は、どのような製品ですか?
黒田社長:はい。身体と筋肉のバランス状態を、簡単に測定、評価するAIクラウドサービスです。
患者・利用者が自分では気づかない「からだのゆがみの見える化」するAIアプリです。
ご利用いただいているところは、病院やクリニックの医療機関、健康診断センターも含まれます。
整骨院や整体院、介護施設もあります。
その他、スポーツジム、ヨガスタジオなどもあります。
「ゆがみーる」を活用することで、患者・利用者様への対処方法構築や、説得力のあるアドバイスが可能です。
治療計画や指導の必要性が、スムーズに説明できますよ。
導入施設スタッフから、患者・利用者様の満足度や信頼度が、大きく向上したと、好評頂いております。
結果として、再来院率の向上にも繋がっています。
話題作りにもなり、他院との差別化が図れます。
開業時の患者様、お客様への、関心付けにも有効ですよ。
木村:なるほど、素晴らしいですね!
「ゆがみーる」 AI姿勢分析レポートの特徴を教えてください。
黒田社長:姿勢を写真や矢印で確認し、数値を可視化します。
ゆがみーる指数※1.で、姿勢状態を点数化します。
姿勢の良い状態を「100」として評価します。
評価はAからDのランクで、分かりやすく表示されます。
部位ごとの評価を、チャートで確認できます。
お客様に合わせ、自由にコメントも記入可能です。
写真上の矢印で、ゆがみの状態や程度がわかります。
測定結果から、推定される姿勢タイプを判定します。
高精度マットやベルトで、研究レベルの結果も得られます。
複数スタッフで、評価や説明を統一できるのも強みです。
※1.独自アルゴリズムによる数値基準
【ゆがみーるの映像1】
【ゆがみーるの映像2】
木村:黒田社長とのご縁は、ある経営者の方からのご紹介です。東京中心に多店舗展開していました。
東京のデイサービスを見学させていただきました。
案内して下さった、担当の相談員の方が、一生懸命「ゆがみーる」を説明してくれたのです。
利用者様やご家族様、そしてケアマネジャーに大好評というお話をしてくれました。
特にケアマネジャーは、利用者記録に「ゆがみーる」の「見える化」データを添付し活用しているとのことでした。
ケアマネジャーからの信頼獲得によって、稼働率向上に貢献しているとのことでした。
実際、デイサービスの利用者の方が、お元気でビックリしました。
そのような経緯から、ジースポート様を紹介して欲しいとお願いしました。
黒田社長: ありがとうございます。「ゆがみーる」ユーザー様からのご紹介で本当にありがたいことです。
木村:話を戻し、「ゆがみの見える化」である筋肉測定レポートについて詳しく教えて下さいませんか?
黒田社長:はい、姿勢から、筋肉の張りや緩みを推定し表示します。
赤は張り、青は緩みと、色分けして、一目で判別できます。
3DCG表示(3次元コンピューターグラフィック)で、お客様の納得感も得られやすいです。
AIが最適な、姿勢改善トレーニングを提案します。
OEM等の、カスタマイズ連携も可能ですよ。
個人の測定データは、いつでも管理画面で呼び出せます。
上半身、骨盤、下半身ごとに詳細な解説付きです。
木村:短時間でだれでも簡単に使えるとおききしましたが?
黒田社長:はい。面倒な設定や操作は、一切不要です。
測定からレポート作成まで、わずか1分で完了します。
iPad等のタブレットで3枚の写真を撮影するだけですよ。
IT機器に不慣れなスタッフも、簡単に使いこなせます。
撮影は、医療や介護の専門職でなく、助手やスタッフでも対応可能です。
側面、正面、屈位の3姿勢を撮影するだけです。
撮影結果=「見える化」データに基づいて、すぐに医師や専門職がアセスメントや施術、運動指導に活用できます。
木村:なるほど、確かに「見る化」で患者・利用者の納得度がまし、リハビリや機能訓練のやる気につながりますね!いや~すごい、すごい!
CTCトレーニングとは、どのようなトレーニングなのでしょうか?
黒田社長: Check、Treatment、Confirmationの頭文字です。
理学療法士(PT)や専門家と共同開発、実証した、姿勢改善に、とても効果的なトレーニング法です。
レポートには、AI推奨のCTCトレーニングが表示されます。
QRコードで、動画確認もできますよ。
指導後に、お客様自身での確認も可能です。
説明が苦手なスタッフも、動画で案内できます。
木村::「ゆがみーる」を利用するために、どのような機器が必要になりますか?
黒田社長:iPad等のタブレットか、スマートフォンのカメラです。
オプションでWindows PCやプリンタも使えます。
高精度測定用のマットやベルトも選べます。
iPad第7世代以上、Androidタブレットに対応します。
木村:「ゆがみーる」は、どのような施設で導入されているのでしょうか?
黒田社長:全国1,200以上の施設でご利用いただいています。
内訳としては、大学、研究機関、医療施設、スポーツ施設が中心ですね。
件数としては、デイサービスや整骨院、フィットネス施設が多いです。
顧客満足度や、リピート率向上に貢献していると高評価を頂いています。
デイサービスでは、利用者満足度は元より、ケアマネジャーからの信頼が増したとよくお聞きします。
介護施設では、機能訓練の質も変化し、入所者・利用者のQOLに貢献していると評価頂いています。
整骨院では、集客や売上アップに繋がっています。
理学療法士も認める、「姿勢の見える化」です。
雑誌「日経ヘルス」「VOLT」でも紹介されました。
テレビ番組でも、複数回ご紹介いただいています。
「ゆがみーる」開発の経緯について
木村:そもそも、ジースポートという社名の由来は何でしょうか?
黒田社長:「Graphic and Sports」の造語から来ました。
可視化により、スポーツのパフォーマンス向上や、リハビリを支援したいという思いでした。
木村:創業はいつ頃で、どのような事業展開をされてきたのですか?
黒田社長:はい、創業は2000年7月です。
当初は遠隔医療とモーションキャプチャが事業の柱でした。
大学では、当時の同僚と3D筋骨格モデルによる筋活動の研究をしていました。
その技術を遠隔医療に応用しようと考えました。
地方の医療格差を、技術で解決したかったのです。
測定により筋骨格情報を、ネットで瞬時に送る仕組みです。
遠隔でも、精密な診断を可能にすることが夢でした。
木村:黒田社長ご自身のリハビリも大きく影響しているとお聞きしたのですが?
黒田社長:はい。「ゆがみーる」誕生の大きなきっかけは、28歳の時に遭ったバイクでの交通事故です。
複雑骨折を4カ所負い、長期のリハビリを経験しました。
その際、リハビリの現場で「どれだけ頑張ればどれくらい良くなるのか」という客観的な指標が見えませんでした。
患者さんのやる気を引き出す仕組みが不足していると痛感したのです。
当時の私はサラリーマンで、医師から「もう歩けないかもしれない」と言われました。
絶望で目の前が真っ暗になりました。
「リハビリを頑張って続けましょう!」と言われても先が全く見通せないんです。
リハビリへのモチベーション維持に苦慮しました。
このような経験から「頑張った分だけ結果が見えるもの」が必要だと感じました。
これが「はかる、みる、わかる」という「ゆがみーる」の根幹に繋がっています。
私の経歴としては、大学コンピューターサイエンスの研究室で3Dモーションキャプチャによる筋肉・骨格表現技術を研究し、ゴールドマンサックスに勤務していました。
事故からの体も回復した2000年に起業しました。
当初は「遠隔医療システム」や「動作解析ソフトウェアARMO」といった大規模かつ専門的なシステムを手掛けていました。
高額な費用や当時の市場の小ささから、広く普及させることはできませんでした。
これらの経験から、より多くの人が利用できるよう「姿勢を手軽に評価する」ことの重要性に着目しました。
当時、「姿勢」というキーワードへの注目度が低かったんです。
木村:その技術が、「ゆがみーる」に繋がるのですね。
黒田社長:はい。ゆがみーるの前身は2008年にリリースしました。
Microsoftさんから高く評価をいただきました。
Microsoft Innovation Awardで、最優秀賞を受賞しましたね。
手軽に、客観的に姿勢を評価して治療や指導に繋げるという着眼点が評価されたのです。
これが、大きな自信に繋がりました。
製品開発失敗の話
木村:創業当初から、多くの苦労があったと伺っています。
黒田社長:ええ、苦労の連続でした、ハハハ。
遠隔医療システムは、莫大な投資が必要でした。
販売価格が1億から2億円になり、全く売れませんでした。
医療現場は、市場の声が汲みとりにくい業界です。
どうしてもプロダクトアウト型になってしまいます。
新しい製品は、当たるか外れるか難しいですね。
動作解析ソフトARMOも、普及は限定的でした。
ニッチな市場だったため、爆発力はなかったです。
価格を1/10に下げましたが、やはり専門家向けでした。
子供向けDVDは、反対されましたがヒットしました。
少子化だからと、ベンチャーキャピタルに言われました。
高齢者向けを作れと、散々言われたものです。
それでも、結果的に大ヒットし、世の中は分からないですね。
ジースポートの主力製品紹介
木村:「ゆがみーる」以外にも、独自の製品があるのですね。
黒田社長:はい、2つほどあります。
1つ目は、製品名「3DマッスルシミュレータARMO」は、筋活動レベルの動作分析ソフトです。
筋力や消費カロリーを推定し、アニメ表示します。
身体運動を、高品質な映像で再現しますよ。
身体運動の研究や教育向けに最適化されています。
学生向けに、運動理解をサポートします。
2つ目の製品名「DARTFISH」は、国際特許の映像による動作分析ソフトです。
サイマルカムで、映像の合成が可能です。
ストロモーションで、動きの軌跡が見られます。
アナライザーで、角度や距離の計測もできます。
タギング機能で、映像データベースも構築出来ます。
スポーツ、教育、リハビリで、世界的に活用されています。
欧米のナショナルチームや、トップアスリートも愛用しています。
メキシコを含む海外展開
木村:最近は海外展開も積極的にされていると伺いました。
黒田社長:ええ、ASEANやメキシコを含む海外展開を進めています。
JETROやJICA Biz実証事業に、採択されました。
日本の介護予防や予防医療向けソリューションを元に、ASEANやメキシコでの高齢者健康促進を支援します。
運動機能評価AIプラットフォームの実証です。
高齢者自立型予防医療に、DXを活用して、
中南米での予防医療の事業化を目指しています。
ハリスコ州のDIFを訪問し、レポートも出しました。
JICAセミナーで、取り組みと展望を語りました。
開発途上国の健康課題に、AIで挑みます。
国際開発ジャーナルにも、事例が掲載されました。
今後の「ゆがみーる」の国内展開について
木村:今後の国内での「ゆがみーる」の展開についてお聞かせください。近年、スマートフォンの普及などにより「首を前に出した姿勢」に悩む方が増えていると聞きます。
「ゆがみーる」は、このような姿勢の把握においてどのような有効性があるのでしょうか?詳しくお聞かせくださいませんか。
黒田社長:はい、まさにその「首を前に出した姿勢」いわゆる「ストレートネック」です。
スマートフォンの長時間利用などに伴い、首に大きな負担がかかります。
結果、肩こりや頭痛といった症状にもつながる原因の一つと言われています。
辛い症状は、勤務や学業への影響も大きいと考えています。
個人の姿勢の問題ばかりでなく、社会問題になっていると認識しています。
このようなストレートネック姿勢を的確に把握し、改善に導くために「ゆがみーる」は非常に有効なツールであると自負しております。
健康経営をお考えの企業様、大学・高校・中学・小学校など学校関係へのPRもしていきたいと考えています。
姿勢や歩行改善への強力なツールとして「CTCインソール」も販売予定です。
「ゆがみーる」で測定した後、靴にはるタイプの新しい「インソール」を提供して行きます。
姿勢や歩行改善の運動時間が確保できない方の為に開発しました。
AIが姿勢と歩行を改善!CTC-AI-インソールとは?
木村: CTC-AI-インソールについて詳しくお聞かせくださいませんか?
黒田社長: これはAIを活用したインソールです。姿勢分析からインソール評価まで自動で行います。
木村: AIが分析し設計するのですね。
黒田社長: はい、「ゆがみーるクラウドPro」で利用可能です。
AIが姿勢測定により歩行改善を提案します。
木村: 現場の課題も解決できますか。
黒田社長: はい、患者様の姿勢に基づき、歩行の1歩目を踏み出しやすくするパターンを分析します。
インソールは分析結果から5分で処方を可能にします。
木村: インソールを処方するスタッフは専門知識がなくても使えますか。
黒田社長: ええ、スタッフは、経験が浅い方でも活用可能です。
AIにより適切な重心位置を分析するインソール設計が特徴です。
高精度の客観的データで評価します。
インソールは、ご家族が対応することも可能です。
インソール制作や装着も簡単です。ご家庭でも高度なケアが可能です。
インソールは薄い部品です。シューズに貼るだけの簡単作業です。
木村: 効果はどのように確認できますか。
黒田社長: AIがフォローアップを支援します。最初に姿勢を撮影し、AI分析で現状を確認します。
その後インソールを処方します。
姿勢を継続撮影し変化を分析します。
効果をデータで確認し、最適な調整が可能です。長期的なフォローアップを支援します。
木村: 国内外で実績はありますか。
黒田社長: はい、多くの医療現場で実証済です。理学療法士が共同開発しました。
理学療法士の浜田貴都(はまだたかと)氏も監修しています。
木村: どのような施設で実証されたのですか。
黒田社長: 愛知県のデイサービスIKIGAIや、タイの介護予防施設、回復期リハビリ施設のPNKG recovery centerなどです。
木村: 実をいうと私もCTC-AI-インソールを利用させて頂き、大満足しています。
高額なインソールで数回使いましたが、効果を感じることが無かったのです。
正直、CTC-AI-インソール到着時は、期待していませんでした。
ところが、「ゆがみの見える化」とインソールの微妙な「圧」によって歩行時の意識が変わりました。
さらにPC作業や長距離移動時も意識するようになりました。
黒田社長: よかったです。多くの方の歩行改善に貢献できると信じています。
そして老人や患者さまばかりでなく、現役世代の方、次世代を担う若い方のQOLも含め貢献していきたいと思います。
木村:貴重なお話を、ありがとうございました。
黒田社長::ありがとうございました。
社名:株式会社ジースポート
住所:〒101-0021 東京都千代田区外神田2丁目2-17 喜助お茶の水ビル95号
電話:03-5615-8268
あとがき
2025年7月10日「ゆがみーる」で木村も測定してもらいました。
その場で、黒田社長から的確な「ゆがみ」のアドバイスと「CTCインソール」を作ってもらいました。
当時PC作業と長距離移動で、左足の裏側が固くなり、趣味のジョギングが全くできない状況でした。
左足に負担がかかっているので、右足に負荷のかかる屈伸運動(左手を机等でささえ、左足をあげたまま、右足でスクワットするような運動)を、その場で、20回ほどし、「CTCインソール」の靴を履いて仙台へ戻りました。右足荷重を意識しました。
翌朝のことです。前日まで左足の痛みが和らいでいました。
その後、右重心の姿勢維持、ストレッチ等こまめに行いました。
2025年8月中旬から、以前のように趣味のジョギングを楽しんでいます。
黒田社長本当にありがとうございました。