vol272.経営環境の変化

経営環境の変化
「カントリーリスクが経営に及ぼす影響を考慮する」必用が出てきました。
国家の代表者が亡くなった場合、
(1)様々な影響が (2)短期・長期的に経営に影響を及ぼします。
憶測やTVのコメンテーターの言葉を鵜呑みにせず、
確実に準備することをお薦めします。
リスク分析と対応においては、
JIS Q2001「リスクマネジメント構築の為の指針」にて規定、定義されています。
【BS25999/ISO22301】導入の企業は、インパクト分析から
はじまる手法をご活用下さい。
今回は、「JIS Q2001」で解説します。
大きな第一ステップは「リスク分析」です。
リスク分析には3段階あります。
(1)リスク発見 (2)リスク特定 (3)リスク算定 です。
第一段階:リスク発見
カントリーリスクから発生する「リスク」又は「脅威」を列記します。
具体的には、ポストイット等を用いて、役員・幹部に20枚から50枚配布します。
リスクを各々書き出させます。
幹部10名×50枚/一人当たり=500枚のリスクが出てきます。
ブレーンストーミングを用いて、ポストイットを読み上げながら、
グループ分けを行います。
すると10〜20のグループに集約されると思います。
注意)トップは、自分の意見を慎みます。
第二段階:リスク特定
例えば、難民が押し寄せる、為替変動・・・と出ました。
リスク(脅威)を具体的に特定するには、
難民よりも難民に交じったテロ行為によるインフラの停止
社員の安全確保が難しくなる、税関等の検査強化により物流の遅れ・・・等を
具体的に特定していきます。
為替変動についても「極東不安による急激な円安」
「急激な株安」「輸送単価の急激な変動」
これも、ブレーンストーミングとポストイットを用いて実施します。
第一段階の「リスク発見」でグルーピングした後、
第二段階は、ロジックツリー(クマデ)や花火を使い「リスク特定」願います。
注記)花火は、KJ法の手法名です。
第三段階:リスクの算定
リスク(脅威)が特定されましたら、算定します。
「定量分析」と「定性分析」で行います。
両者とも、簡易的方法は「発生確率」と「影響度」の掛け算で算出して下さい。
3段階、5段階評価、10段階評価等を用いて下さい。
「急激な円安による原料高」の発生確率(5段階評価の4)
「急激な円安による原料高」の影響度(5段階評価の5)
発生確率4×影響度5=20ポイント
以上に容量で、「リスク特定」で出た項目を全て「算定」します。
具体的には、エクセルなどを使い実施します。
発生確率や影響度は、相対的な評価になります。
大きな第二のステップは、「リスク対策」です。
第一のやり方
リスクへの対応には「移転」「回避」「低減」「保有」です。
「リスク分散」の言葉だけ普及しており、「リスク分散」のみ連呼しますが、
そのことが「リスクを拡大してしまう」ケースもあります。
JISでは「リスク分散」という言葉は定義されていません。
十分気をつけて下さい。
「リスク回避」「リスク低減」の更に細かい対策の一部に
「リスク分散(一般用語)」が含まれています。
「リスク特定」項目とポイント毎に、対策を列記します。
莫大な量になります。
その対応策が「移転」「回避」「低減」「保有」どれに含まれるか決めます。
事例とすれば「ポイントの数値が少ないもの」は「保有」を選択して下さい。
2011年12月19日時点では、大規模な難民、テロ、国内反乱は無いようです。
よって、「リスク特定」項目としては上がっても「保有」となります。
為替対策やサプライチェーンの見直しは喫緊の課題かもしれません。
「低減」を選択して具体的行動へ移していきます。
第二のやり方
「リスク特定」項目ごとに「移転」「回避」「低減」「保有」の対策を全て出します。
その上で、対応策毎に優先順位を決めます。
この場合も、実行性、緊急性、経済性等複数項目を設け、
掛け算でポイントを算出して下さい。
事例として「リスク特定」項目⇒「急激な円安」(1)移転:為替保険 
(2)回避:ドル決済への変更 (3)低減:輸入原材料依存度を減らす。
代替品の活用(4)保有:1週間静観する
以上について、実行性、緊急性、経済性を5段階評価して、
掛け算、ポイントの高いものについて手を打つ、
又は15ポイント以上は対策を実行する 等々決めます。
さて、不足の事態に備えた場合には、「社員の出勤や帰宅問題」
「インフラが影響を受けた場合のエネルギー確保」
「物流、ロジスティックスの確保」
「復旧要員の確保や食料など生活物資の確保」が必要です。
災害は2重3重で発生することがあります。
例えば「復旧要員」が「インフルエンザを発症した」です。
しかも「代替え要員」は、出勤不可能な状態となった・・・・。
2011年12月19日の訃報にあたって、
少なくとも「危機対策本部」は仮設置を検討して下さい。

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